らびっとブログ

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「涼宮ハルヒの憂鬱」TV版の見どころ

自宅療養中の家人が海外ドラマ見たいというのでU-NEXTを契約してPS4からTVに映るようにしたら、突然「京都アニメーションのアニメが良いと聞くけど何があるの」と聞かれて「ハルヒはオタクすぎ、けいおん!もいいけど、シリアスならユーフォニアムかな」と答えたが、自分でも気になりハルヒ(TV 1期)を見返して面白さを再実感した。

 

 

原作小説 (2003~)

原作は当時は角川スニーカー文庫で「驚愕」まで読んだ。谷川流の独特なノローグ文体は、主人公が思っているのか喋っているのかが、なんと相手の言葉が返るまで分からない!最初に読んだ時はこんな書き方もあるのかとたまげた。

 

そして気軽な学園ものなのに主人公キョンのセリフに哲学的なネタが混じる軽快さ、更にいとうのいぢの巨大な瞳と刺繍などこだわりあるイラストで超ベストセラー、「ラノベ」という用語が世間一般に知られた作品とも思う(それ以前もスレイヤーズとかあったけど)。

 

平穏な生活を望む主人公キョンが、ヒロインの涼宮ハルヒ、「宇宙人」の長門有希、「未来人」の朝比奈みくる、「超能力者」の古泉一樹らと「SOS団」に巻き込まれて、迷惑や面倒を感じたりしながらも、不思議な信頼感が積み重なっていく。

 

主要キャラクターには熱心なファンが付いた。ただ回を重ねるとキャラクター中心が進んで話の工夫は試みていたけどなかなか難しかったような気がしている。

 

長期休刊時に書店に唯我独尊キャラのはずのハルヒごめんね看板が出た時はギャップに驚愕した(作者がインタビューで「ハルヒには腹パン程度で許してもらえるだろうか」と言っていた記憶)。なお私が見たのは以下リンク先写真ではなく、ハルヒ型に切り抜かれた自立型立て看板でした。「驚愕」発売時のユキの「おまたせ」もちょっとギャップが(^^;

「涼宮ハルヒの驚愕」当初の発売予定日から3年 - きーぼー堂

 

TVアニメーション (2006 1期)

京アニが世間に最初に注目された作品と思う。特にエンディングの「ハレ晴れユカイ」(ハルヒダンス)。

 

ただ後のけいおん!やユーフォなどと違って、回(スタッフ)ごとの絵柄や作画品質のばらつきはかなり大きい。原作イラストに近い「憂鬱 I, VI」など(池田晶子作監)や、アニメ的に丸っこくて良く動く「憂鬱 III」「射手座の日」など(堀口悠紀子作監)が特に人気だったと思う。

 

更に予告編も毎回の工夫が話題だったが、含まれておらず残念。(TV放映は時系列ではなく、予告編もその順序を話題にしたネタもあったので、難しいのかも。)

 

原作のポイントを押さえながら、違和感あった点はさりげなく修正されてる(コンピ研からのPC強奪時に、原作では制止役のキョンハルヒに従い「セクハラ証拠写真」を撮影してハルヒの悪事に加担してるが、アニメではハルヒが自分で撮影、とか。)

 

特に好きなところは

  • 「憂鬱 I」 オープニングやエンディングに原作の作品世界をあちこちに感じさせるので原作ファンとして感動。特にキョンノローグは映像化困難と思っていたら、なんと「そのまま」で、しかも自然に繋がっているので驚いた(スタッフ内で色々議論があったらしい)。
  • 「憂鬱 III」 駅前のグループ分けで、ハルヒが抽選結果に不満そうにストローを吸う描写がおかしい(これは憂鬱 VIエンディングに続く)。
  • 「憂鬱 IV」 なんといっても朝倉涼子とユキの対決シーンの映像化。1回では見切れない。私は朝倉ファン(少数派)なので原作イメージ通りで嬉しい。(配慮ある殺意が逆に恐くて有終の美。だから原作で後で復活すると、ファン需要も判るが偽物みたいで複雑だ。)
  • 「憂鬱 VI」 憂鬱内憂鬱の最終話。終盤の閉鎖空間は、ほぼグレーな世界なのに微妙な色分けでこんなに綺麗な画面ができて驚き。しかもハルヒが普段になく不安な表情、転じて満面の笑み(キョンには不安)、そしてハルヒキョンに納得させようとする(従来ならありえない)微妙な動作、本当に神レベルハルヒキョンの関係がセリフで無く見えるのがいい。「フロイト先生も爆笑だ」(夢分析の深層心理の性的願望まんま)も笑える。
  • 射手座の日」 原作でもハルヒにPC強奪されたコンピュータ研があまりに一方的でヒドすぎるから作った「今回は自業自得だったな」エピソードと思うが(当時のキョン作成風の公式ホームページのセリフ)、遊び心満載でPCのLANケーブル配線やWindows XP画面までリアルだし(TVアニメ初では)、特にハルヒの丸っこく動き回る喜怒哀楽の作画満載堪能しまくれる(京アニのジト目の元祖では)。
  • ライブアライブ」これは有名すぎ。京アニ演奏映像の起源。God KnowsはCD版をiPoDに入れて通勤で毎日聞いてた。ただ傍若無人ハルヒがステージで他のライブメンバーを気遣ったスピーチしたり、成長と同時にキャラのイメージも変わってきてしまう。

 

やはり回やシーンによる品質差が激しい。どうせTV放映とは順序が違うし「憂鬱 I~VI」以外は半分独立エピソードなので、ピックアップして観るのも良いかと。

 

数話なら本筋の「憂鬱 I~VI」(途中で作画の波はあるが)、1話だけならSFパロディ調の「射手座の日」 か、学祭や音楽好きなら「ライブアライブ」とか。

 

(了)