らびっとブログ

趣味で映画、本、政治思想とか時々書きます(^^)/ ご意見はツイッター @rabit_gti まで

映画「風の谷のナウシカ」見返して気づいたこと、やはり納得できないこと

映画「風の谷のナウシカ」(1984年、監督 宮崎駿)を2020年末のテレビ放送録画で見返しての感想です。

 

劇場公開時は「アニメージュ」連載の漫画版を読んでいたので、曲者のクロトワとか色々なエピソードが削られて断片つぎはぎ作品に見えたが、今になって見ると劇場版の約2時間に結構うまくまとめられている気がする。

 

メーヴェガンシップが実在かと錯覚する宮崎作品ならではのデザインと描写は、何回見ても凄いとしか思えない。リアルを圧倒する宮崎空想リアリズム。もはや異常だ(誉め言葉

 

そして敵役ながら道具を積極活用したい近代文明人のクシャナ、その戦闘相手で平和主義のようで実は同じ近代側のペジテ、この両者に対してエコロジー視点の価値転換を主張するナウシカ、との対比(脱近代な文明論)も簡潔に描かれていて、エンタメ系アニメーション映画では蝶矢だったと思う。

 

ただ、やはり納得できないのは以下3点だ。

  1. これは作品責任外だが、当時から「優しい女性視点の文明論」言説で全面賛美のマスコミが多かったのは疑問だ。確かに当時の大多数の子供向け作品は、「アトム」「マジンガーZ」から「ヤマト」「ガンダム」「999」は勿論、宮崎氏自身の「ホルス」「ど宝」「コナン」も含めて「少年が主人公で女性らを守る」構図で、少女が主人公の活劇は少数派だった(男性版のサブ作品ながら、ワンダーウーマンバイオニックジェミー、後のセーラームーンくらい)。しかし「女性なら優しい母性」自体がジェンダー視点だし、ナウシカと対比のクシャナは女性の近代人だし、ザコン要素の作品昇華が実際に思える。(なお性癖の創造活用自体は肯定派です、念のため)
  2. ラストシーンはやはり自己犠牲の特攻隊の宗教的美化を連想して後味が悪い。制作時にも議論があったらしく、最近の記事もあり、映画のカタルシス必要性もわかるが、やはり映画ラスト以前のナウシカもコナンもバズーも(ただの無知/暴勇ではなく一定の経験/確証ある)可能性を信じての行動なので、仮に結果的に死ぬ場合にも達観/観念ではなく死中に活を求める表情であって欲しかったし、安易な感動狙いに思える。(そもそも王蟲暴走は胞子を撒き散らしながらでなかったのか、大勢大丈夫は詐欺ではないのか)
  3. これが一番肝心だが、宮崎作品の中では「ナウシカ」(と「もののけ姫」)は作品自体のレベルが高くないと思う。前後の「カリ城」「ラピュタ」「魔女宅」「トトロ」の方が全体も細部も作画も美術も明らかに良いと思う。もちろん予算/期間など与えられた制約の中で良い作品を作るのがプロだし、ナウシカが特に悪いとは言わないが、王蟲など荒い止め絵も多いし、「ここぞ」という以外の作画は必ずしも丁寧ではないのに、多くの観客が「感動した、絵も背景も美しかった」と言うのは不可解だ。(完成画よりラフ絵に感動する事も多いように、完成度が高ければ感動/名作という訳では無いが、「感動したから出来が良かった」というのは違う、と思うのでした。)

 

世間に多いナウシカファンから嫌われそうですが、個人的に納得できない点を書いてみました。なお過去に入力した事も無いPCで「おーむ」で「王蟲」と漢字変換できて驚き(笑

 

(了)

2020年回顧 (3)ポピュリズム退潮(安倍/菅政権、英国EU離脱、大阪都構想、愛知知事リコール署名)

2020年回顧の最後。なるべく長期観点で振り返りたい。

 

なおポピュリズムは元々は米国ポピュリスト党(人民党、大衆党)など悪い意味はなく、大衆の支持を背景に大衆の希望を実現する面では民主主義的だ。ただしここでは、後に批判的に使われた悪い意味(大衆迎合主義)で使用する。ポイントは従来の「左 v.s. 右」ではなく、「エリート v.s. 大衆」軸の観点で、支配層(エリート)を批判して大衆迎合するため、反近代(法治より人治、反知性主義)で場当たり的で分断主義、そして差別主義や排外主義と結びつきやすい(ナチスなどもポピュリズムとされる)。

 

  1. 年末に「菅政権支持率40%台」が続出中だが、支持率は長期で見たい。「安部政権退陣表明後の70%」や「菅政権発足直後の70%」は一時的要因なので、「70%から40%に急減」との指摘は余り意味が無い。ポイントは両政権の最大支持理由の「他に良い人がい無いから」で、つまり消極支持(安定優先で皆が推す人を推す)が今の世論の大半。実際に安倍氏辞任表明直後の菅氏人気は低く、菅・二階連合のなだれ現象直後に支持率も急上昇した。つまり「皆が支持を止めれば私も見放す」との薄情な支持で、逆境には弱く、福田/麻生政権と似ている。そもそも両政権の特色は(安倍政権を振り返る10の功罪でも書いたが)「抜本改革は先送り、官製相場で人為景気、やってる感政策」なので、実体経済は生産性低下の亡国路線。アベノミクスでは当初本命の規制緩和/成長戦略は不発、受益者負担に反するふるさと納税やGoTo、民間介入の携帯料金、屋上屋のデジタル庁など、悪い意味のポピュリズムが多い。統治/経営のプロの仕事をして欲しい。
  2. ブレグジットも年末にやっと決着。この主犯はキャメロンで、残留派なのに党利党略で立法化し、不正確な離脱メリットを拡散して、意外にも成立するとさっさと逃げた。メイ首相やジョンソン首相は尻ぬぐいだ。ところでこの混乱を理由に「直接民主主義国民投票は、拮抗すると国論分断/不測結果になるので良くない」との説もおかしい。間接投票の日本の首相指名/不信任案可決/法律可決も51%で情勢に左右されるし大平政権ハプニング解散もあった。票読みの難易はあるが「否決見込みなので賛成した」などは直接/間接無関係で、重要な決定は慎重に(51%はギャンブル)という一般論と思う。
  3. 大阪都構想も2度目の住民投票で否決された。そもそも都構想は内容も疑問だが、今回は「コロナ対応で知事がテレビ露出して人気が高まったから、急遽実施して維新の目玉に」という露骨な党利党略が住民にしっぺ返しを食らった形で、動機も結果も安易なポピュリズムだ。
  4. 更に愛知大村知事リコール署名運動が法定数未満&8割超不正疑惑の醜態で終わった。トリエンナーレでの展示自体には議論もあるが、そもそも愛知知事が「憲法表現の自由はある」と言った事を問題視してリコールという発想が自己矛盾だ。古典的な保守主義パターナリズム(父権主義)や排他的な共同体主義ならばある程度わかるが、「自由」を主張して好き嫌いで少数意見排除を進めるという面がSNS的な自己矛盾ポピュリズムかと思う。

 

(まとめ)コロナ禍もあり多くのポピュリズムは退潮した(分断より共同体、専門家批判の限界)が、「多数派である民衆の直感が正しく、エリートは信用できない」の想いがある限りポピュリズムは繰り返す。「民主主義=多数決」ではない。大多数の社会では「男は強く女はかわいく、好きなものにひいき、凶悪事件の犯人は裁判不要、空気を壊す奴は出ていけ」なので、エリートが自由平等や法治を長年説得して、最後は全体で承認して正統性を持たせたのが近代社会の実際と思う。

 

(了)

2020年回顧 (2)新型コロナ禍とWHO/中国/日本政府/テレワーク

2020年は新型コロナ(COVID-19)が世界に蔓延したが、WHOの説明は実は正しく、中国は人道軽視の戦時対応し、日本政府は相変わらず場当たり的に見え、テレワークはグローバル社会では元々必要、との話です。

 

  1. WHOなど国際機関への日本人の信頼性が大幅に下がったとの報道を見た。「拡大した以上は悪い」との結果責任や、WHOテドロス事務局長の政治的すぎる発言もある。しかし感染症は半分天災で、WHOに権限はない。そもそも多くの国際機関は専門家集団として計画や助言はできるが、権限は各加盟国で仮に拒否されれば何もできない。このため加盟国(特に発生国=協力国)に気を遣って迎合的発言も多いのは、立場上はある程度やむを得ない。そしてちゃんとニュースを読んでいればWHOの説明は常に正しかった。良くある批判「WHOは最初は人同士の感染は無いと言った」なども、当時のWHO説明は「人同士の感染はまだ確認されていない」で、専門家は一定の証拠が揃わないと断言できない(若者感染しない、春に消える、免疫ができる、なども同じ)のだが、ワイドショーなどが不正確に報道したのを後でWHO責任にしているだけ。国際専門家組織は科学的な判断をすべきで、勘で先読み判断する立場(政治家?ギャンブラー?)ではない。
  2. 次に「中国の初動に問題あり、武漢封じ込めに失敗」は事実だ。しかし以後は、憲法にも「独裁」明記の一党独裁国家が準戦時体制で、患者を自宅に閉じ込める、軍が周囲を封鎖する、医療関係者を本人同意なしで強制動員する、病棟を急造する、全住民にPCR検査を何回も強制する、などの人権軽視の強権発動を行った。しかしアフリカで封じ込めに成功したエボラ出血熱とは異なり、新型コロナは感染で発症しない場合もあり、封鎖前に脱出した人も多かったそうだ(自分でも当時は無症状なら無感染と思って脱出しただろう)。先進諸国でも初動失敗は連続し、中国ほどの人権軽視の戦時体制は困難だろう。再検証はすべきだが、単純な発生国叩きでは逆に将来の隠蔽を増やすだけと思う。
  3. そして欧米各国は首脳が国民に忍耐を呼びかけ、ロックダウンも行った。しかし日本政府は1年後も場当たり的対応に見える(なお日本が欧米より感染者/死者が1桁少ないのは、東アジア全体に共通だが原因未解明で、日本が優秀だからとは言えない)。常識的には、戦時/災害にはレベルと対応の大枠を決めて、細部は随時調整し、国民も「仮にレベルBなら仕事はこうしよう」と多少の準備はできるが、これがない(緊急事態宣言の上が未定)。現金給付も先進国は毎月数万円だが、日本は一時金(前回10万円)なので計画が立たない。予算ごと検討のパフォーマンスでなく、月2万でも良いので一律月額化して、(更に高収入の人からは後から税務で回収など)制度設計すべきと思う。政府は「事前に計画を出して反対やパニックになるの避けて、隠して唐突に出すべき」のようで、愚民観なのか、「唐突がリーダーシップ」との誤なのか、本当に不思議だ。トップは優秀な管理者であるべきで、独断行動のパフォーマーではないと思う。過去の小泉改革も結構慎重に進めていたが、今の政治家や国民は「指導力」をパフォーマンスと勘違いしているのではないだろうか。
  4. 最後に新常態(ニューノーマル)候補のテレワーク。私はIT企業で元々テレワーク環境もあり、4月以降はほぼ在宅勤務で通勤時間/昼食費もかからず、現場必須の方には大変申し訳ないが、ありがたい恵まれた環境です(部門内でも現場必須のプロジェクトは多いが、たまたま)。世間ではテレワークのセキュリティ/作業効率/ストレスが課題だが、運用を含めた積み重ねが重要なので、やはり限定範囲で良いので始めておくべきだったと思う。そもそも長年対面に最適化した業務がテレワーク化で効率悪いのは当然だが、従来の仕事も電話/FAX/Eメール/グループウェア/テレビ会議と対応してきており、環境/ツールに応じたそれなりの仕事ができるのがプロだろう。例えば1980年代はFAXの使い方知らない年配社員もいたし、1990年代の出向先では本人宛E-メールを毎朝部下に印刷させて机上の未決箱に入れさせる郵便扱いな管理職もいた。私は今は(使いこなせてないけど)相手/用途にも応じてVPN, Zoom, WebEX, Skype, Slack, BOX, Trelloなど。PCは会社貸与でセキュリティ対応はてんこ盛り(Mac標準だが理由をつけてWindowsに逃げた)。また何年間も業務プロセスの切り出しと管理を積み重ねさせられていたのが、結果的に活きているのはグローバル化の利点。むしろ「相手の席に歩いて行ったが離籍中でメモ残して戻った後にメモを更新したくなった」などが消滅して作業効率は向上した(ホワイトカラー業務前提ですが)。そもそもツールはただの道具なので、良し悪しは無く、必要に応じて使い分ければ良い。「対面が人間の文化」とか言う人の気持ちも判るが、電話/メールは使ってるだろう。仮に「若い頃に覚えたまま、新しいものは覚えたくない」なら単なる精神的老化による拒否感情(私もできれば覚えたくないが)。更には年功序列/学歴重視/学閥/移民反対/夫婦同姓/現行踏襲なども「同族同士が楽、新しい出会いは避けたい」な村社会的で、グローバル社会では生産性低下に直結とも思うのでした(私もできれば同族だけが楽ですが、そうもいかない)。

 

(了)

2020年回顧 (1)トランプ退場

突然ですが2020年の政治や社会の振り返りシリーズです。政治の話題は、右派と左派が一方的に相手を批判する事が多いけど、単なるウォッチャーとしては現時点の個々の賛否より、定点観測的に一定期間の動向を見る事が重要かと思ってます。(最終更新 2021/1/7)

 

  1. トランプ敗北。選挙結果を都合よく解釈する人も多いけど、アメリカ大統領選は選挙資金も青天井で実績ある現職が圧倒的に有利で、過去も再選失敗はカーターなどごく少数だ。だから再選失敗は「得票数でほぼ互角だった」ではなくて、4年間の幻滅が大きかった事だし、共和党内はブッシュ一家など既存エスタブリッシュ追放、民主党側は前回無投票のバーニー派結束も大きいと思う。(同じ投票用紙で、両院選は共和党堅調で、大統領選のみ民主党が勝った。)
  2. 前回2016年当選時のトランプの主張は (1)メキシコの金で国境に壁を作る (2)オバマケア廃止 (3)雇用重視・インフラ整備 (4)在外米軍撤退などだったが、(1)はメキシコを関税で脅したが成功せず米国費用で僅かな延長のみ (2)「より良い制度」の設計ができず早々に頓挫 (3)工場誘致など個別のディールだけで庶民期待の広範囲なインフラ整備は無し、(4)は進めたが同盟関係のクルドを見捨てたり長中期的な国益の損得は無視。結局、個別の外交や制裁などディールばかりだった。
  3. 北朝鮮、対中国の強硬派」と信じる人がいて不思議だ。支持者なら本人の言動を追って欲しい。もともと強いリーダーとの直接会談指向で中国・北朝鮮・ロシア・トルコ・フィリピンなど権威主義的政権に友好的で、対中強硬主張のボルトンやバノンは追放、北朝鮮には米国と対等に会談できる威厳を与え、対中包囲網のTPPから離脱してWTO機能不全化させて世界経済の中心を中国に明け渡した。新型コロナやファーウェイやTIKTOK対応も個別の「見せしめ」的で法的網羅性が低く、将来のディール次第で覆し容易なのが難点だ。
  4. 大統領選で「民主党による大規模な選挙不正の証拠多数」を主張し続けて信じる人がいるのも不思議だ。これも支持者なら本人の言動を追って欲しい。トランプは2016共和党候補選から相手に「うそつき」等のレッテルを貼って連呼して評判を下げ、「みんな知ってる」「今にわかる」など具体的根拠は説明しないのが基本スタイルで、それをマスコミが面白おかしく報じて人気が高まった。レッテルと大衆人気で世界を動かすとの運動論を今も実践し続けているだけで、客観的証拠が必要な近代司法での訴訟連敗は当たり前なのに、それを陰謀と言い出すのでカルトじみてくる(もともと宗教右派系だが、統一教会法輪功、日本では幸福の科学も支援中)。
  5. 共和党内で今後も一定の影響力を保てるかどうか話題だが、歴史的にポピュリズム(大衆人気)傾向の強い運動は、カエサル・ナポレオン・ムッソリーニヒトラー・ドゴールなど本人消滅後は急速縮小の傾向が強い。現在はツイッター社の大統領例外で未禁止のツイッターアカウントも、禁止されればマイナーなケーブルテレビ等に移動するしかなく、政敵批判だけで政治パフォーマンスできない4年間の勢い持続は飽きやすい大衆に対しては厳しいと思う。
  6. なおアメリカ大統領選の選挙人制度を「古い制度の欠陥で廃止の動きも」の声もあるが、歴史文化を考えれば困難では。アメリカは「合衆国」と訳されるが、複数の共和国による連邦国家で、外交は連邦でも内政は各州で、大統領も州ごとに選び、人口差は選挙人数に比例だから、州ごとの選挙制度も可能な「下からの民主主義」だ。仮に直接選挙なら制度も連邦で統一しないと不平等だが、建国以来の州の独立(自治)に反する。なお民意の正確な反映優先なら、日本の小選挙区も地域選出の地域代表でもあり激戦区以外は注目されず死票も多いので、「全国単位の比例区のみ」にすべきだろう(持論)。

 

(2021/1/7 追記)

予定通り1/6米国議会でバイデン当選が公式決定したが、トランプ支持者が乱入し4名死亡、トランプのツイッターは一時停止された。大規模銃撃戦や戒厳令の話もあった中、4名で済んだのはかなり軽かったと思う。トランプも保守派ご用達SNSパーラーに移動したそうで、日本のトランプ支持者も倣うべきではないか。

 

(了)

 

映画「時計じかけのオレンジ」実は政治風刺が現代的だ

前回書いた「博士の異常な愛情」の次はやはりこれ。「時計じかけのオレンジ」(1971年、監督 スタンリー・キューブリック)。

 

多くの記事やブログで紹介の通り、美しい音楽に合わせた暴力シーンが衝撃的なキューブリック監督映画だが、見返して感じた事をいくつか。

 

  1. 近未来SFでCGも無い時代もあるのか、大半が屋内、屋外もごく一部で舞台演劇な感じ。やはり造形が印象的な近未来SF映画華氏451度」(1966年、原作 ブラッドベリ、監督 トリュフォー)も連想して、古臭い印象もあるし、断片映像から人間の内面を象徴的に描く作品なのでこれでいいのだ、な気もする。
  2. 時々のワンカット長廻しが異様でいい。冒頭から観客を引き込む有名なアレックスの眼からミルク・バー室内への引きは勿論、定点的な客観描写が逆に怖い「雨に唄えば」の暴力シーン、開放的な川辺から暗い橋下まで情景が暗転して恐ろしい高齢浮浪者再会シーンなど、記憶に残ってしまう。
  3. なんか最初の紹介部分は大友のAKIRAにも似てる。若者不良グループがドラッグで暴走族、対立抗争では敵側を更に悪く描く、主人公は大人には卑屈さを込めた言動で馬鹿にする、など。読者の共感ゲットには自然な構成ながら。
  4. 今回、政治風刺がかなり入ってる事に気が付いた。ごく断片でしか語られないが近未来のイギリスでは政府は効率重視な全体主義(格差拡大、人権軽視の新政策で刑務所を開けて政治犯を入れる)で、悪い意味のポピュリズム(国民は愚かと思い当面の選挙優先で政策を簡単に変える)な政府で、それに反対する作家など(恐らく左派陣営)は政府の新政策の反人道性を訴えて主人公の自殺を望むが、政府に排除された(ようだ)。ディストピア的な舞台背景はオーウェルの名作「1984年」にも通じるが、「時計じかけ」ではマスコミと選挙はあり右派は新自由主義的な権威主義、左派は政府批判重視でルサンチマンを抱えるなど、既に現代的な構図なのがさすがと思う。イギリス人の皮肉を込めた政治的嗅覚なのだろうか。そしてこの世界で主人公の両親が、本当に普通で平凡で善良で愚かな一般市民で、でもその立場になって想像すると悲しくなってくる作品でもあるのでした。

 

(了)

 

映画「博士の異常な愛情」この美しくクレイジーな核爆発

U-NEXT解約前に古い映画を再鑑賞してる。U-NEXTに特に不満は無いが、4 ユーザーIDあっても家族は見ないし、1人なら月額1990円は割高なので。

 

正式タイトルは「博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか」、鬼才キューブリックの最後のモノクロ作品で、ブラックな風刺コメディでピーター・セラーズ主演(一人三役)だ。

 

小学生の時にTV、学生の時の池袋文芸座と、今回で3回目と思う。文芸座では観客が、陰謀論に陥った将軍の説明の「体液」あたりで笑っていたのがちょっと違和感。面白いけど、陽気にアハハと笑えるシーンなのだろうか。

 

「政府や軍の首脳陣のドタバタ劇」と思われそうな作品ながら、実は各登場人物はよくやってる。だからこそ「これでもダメとは、今の世界の方が変なのでは」との風刺が効いてくる。

 

  • まず美しい音楽と手描きクレジットにB-52爆撃機空中給油の映像が違和感なオープニングが洒落てる。
  • 爆撃機機長のコング少佐はテキサス訛りの不器用な軍人だが、「R作戦」発動後の機内スピーチは名演説と思う。「私は演説は苦手で、皆も複雑と思う。平気で核兵器を落とす奴は人間じゃない。しかし我々を期待している国民がいる。うまくいけば皆昇進できるぞ。人種や宗教の差なく皆一緒だ。」素朴ながら皆の不安を汲み取り、士気を高めて一致団結、モラルあり差別主義もなく、みんなでこのB52を応援したくなる(それが人類破滅になるのがブラック)。反軍や反米に見えないための重要な存在だ。
  • アメリカ大統領は決断まで20分の中、冷静に状況を聞いて、次々に手を打ち、酔っているロシア(ソ連)の首相に懸命の説得を試み、全面攻撃は即却下する。ほとんど理想的対応なのが凄い。これはイギリス派遣将校のマンドレイク大佐も。
  • ストレンジラブ博士マッドサイエンティスト風だけど実は解説役が大半。でもラストの「私に考えがあります。総統、私は歩けます」はナチス選民思想復活か、人類非運命論か、両方に解釈できそう。
  • そして美しい「また会いましょう、笑顔を忘れずに、青い空の輝きが黒い霧を払うまで」の名曲が核爆発連発映像にかかり、放射能半減期の100年後まで地下生活する人類の明るい将来を希望を持って歌い上げる?有名なブラックすぎるエンディングは、後の「時計じかけのオレンジ」や「2001年宇宙の旅」でのクラシック音楽(更には「DAICON IV」核爆発による地球再生)にも通じる映画ならではの価値転倒なミスマッチの妙ですね。

 

この作品は良く「米ソ冷戦時核兵器均衡を風刺」と形容されるけど、STARTなどの戦略兵器制限条約は色々できたものの、相互確証破壊(MAD)自体は今の米ロ間も全く変わっておらず、世界が慣れただけ。双方の規模も体制も中国や北朝鮮の比ではないのですけどね。

 

(参考)

予告編(なんか、わけがわからないですね)

オープニング

エンディング

町山智浩の映画塾!「博士の異常な愛情」<予習編> 

『博士の異常な愛情』シリアスドラマをブラック・コメディへと変貌させたキューブリックの革新性

 

(了)

 

天皇は日本国民か?(法律論)

皇族は法律上は日本国民では無い」との伊吹氏発言が一部で話題だが、法律上は従来からの議論で両論ある。しかし「基本的人権を認めるべきなので日本国民」とか「パスポートがあれば日本国民」など、ちょっと変な話も見かけるので簡単に整理してみた。

 

まず話題の伊吹元衆院議長の発言はこちら(以下A)。(天皇だけでなく皇族もかは異論があるが)

国民の要件を定めている法律からすると、皇族方は、人間であられて、そして、大和民族日本民族の1人であられて、さらに、日本国と日本国民の統合の象徴というお立場であるが、法律的には日本国民ではあられない

 

これを批判した横田耕一 九州大学名誉教授の説明(以下B)。(こちらは皇族の話。ただし皇族会議はある。)

皇族の婚姻に関しての制約は法律上何もないので、制約されるという根拠がないわけです。『法的にはちょっと違う』という伊吹さんの発言は、基本的に間違っているといえます

 

上記A、Bを前提に海外の例も挙げて「現状では不明確で無国籍者とも思える、法整備を」との提案(以下C)。(面白い内容です)

皇族が国民かどうかすら説明がつかない法の状態は、いかがなものかと思う。

 

しかし天皇は日本国民か」は昔からの議論だ。整理してみたい。(話の単純化のため皇族を天皇に絞る。)

 

主な学説(詳細後述)。

  • A説:天皇・皇族は国民  ←通説
  • B説:天皇は国民ではない、皇族は国民
  • C説:天皇・皇族は国民ではない

  

  1. 戦前の「大日本帝国憲法」では「第1章 天皇」「第2章 臣民権利義務」で、第2章の各条文の大半は「日本臣民ハ」で始まる。天皇は君主で、臣民は臣下だ。当然ながら戦前の天皇は日本臣民ではない
  2. 戦後の「日本国憲法」では「第1章 天皇」「第3章 国民の権利義務」で基本構成は似ているが、第3章の各条文は「国民は」「すべて国民は」「何人も」、そして対象記載なし(例 「学問の自由は、これを保障する。」)など色々な表現だ。
  3. 学説では上述の3案がある。「国民案」も地位に応じた制約を認め、「国民ではない案」でも人権を全く認めない訳ではないので、結果に大差はないが、「天皇」や「人権」などへの姿勢が変わってくる。
  4. 伊吹氏などの伝統的保守派は、天皇と国民を分ける傾向がある天皇は現在も「君主」で同列は「畏れ多い」と考え、現行憲法は「押し付け」と軽視し、現行憲法の「日本国民」は「日本臣民」と考え、現行憲法の「天皇の地位は日本国民の総意に基く」などは「含まれない」に読めるし、そもそも「民(たみ)」は民衆や平民を指す、などなど(なお伊吹氏は過去に「天皇陛下万歳」の反復にも苦言。)
  5. 逆に戦後民主主義に慣れた層は「国民=国籍=基本的人権と考えると思う。こちらが通説だが、他説が非常識という訳ではない。
  6. ところで基本的人権が必要なので日本国民」は不正確。在日外国人にも思想信条の自由や納税義務はある。憲法の各条文で「国民は」は国籍保持者のみ、「何人も」は人間全て、との解釈もあるが、明確な単純化は困難だ。
  7. 次に「パスポート(日本国籍)ありが日本国民」も一概に言えない。天皇には戸籍も苗字もパスポートも無い。歴史的経緯では、戸籍は「臣民簿」で、苗字は「上から与えられたもの」で、パスポートは「政府が国籍証明するもの」(一般に君主は政府の上)なので。なお天皇にも住民票や住民税はあるが、それは在日外国人も同様だ。
  8. 海外の例でも君主はその国の国民か。イギリスは今も法律で「国王、臣民」を分けている。カナダやオーストラリアなど英連邦(コモンウェルス)諸国は今も国王がイギリス国王(同君連合)だが、エリザベス女王は各国の国民(多重国籍)なのか。
  9. 以上から天皇無国籍論もある。普段は日本人のように生活していても、日本で生まれ育った在日外国人も多く、日本国民の子供が事情で無戸籍・無国籍も実は多いから、そう不自然ではない。特に「国籍は君主が臣民に与えるもの」という立場では、君主自身が国籍を持たないのは突飛な説ではない。

 

なお個人的には、現在の天皇は「国家の奴隷」(三笠宮)で、職業選択の自由、居住の自由、そして実質的には言論の自由、信教の自由、婚姻の自由も無く、更に身分差別(血統)、男女差別(長男相続)かと思う。

 

歴史的には明治の「国営天皇」が不自然で、君主と非君主が中間半端な現行憲法により問題が拡大してしまった。

  1. 明治までは明文規定なく退位可、権威あり(血統による資格)
  2. 明治に法的に退位不可、君主の権利あり(選択不可の権利と義務)
  3. 戦後は政治権力無し、義務だけあり(選択不可の義務のみ=奴隷

 

以下のどちらかが良いと思う。

  1. 退位の自由を認める(皇室典範改正。権利制限は本人選択の結果に。後継者は遠縁含め探せば良く、それを国民が支持するかはその時代の国民次第)
  2. 憲法上の天皇廃止憲法改正。民間の神社、仏教、家元などと同様に、国民の支持が続く限りは皇室存続する。いわゆる尊皇的天皇制廃止案)

 

いずれの案でも国民支持による存続は実は現行憲法でも同じ。退位の自由や天皇制廃止を「左翼の陰謀」という自称保守派もいるが、天皇・皇室・日本国民などを信用しないから、近代的な法的強制(憲法による奴隷化)に頼っているのでは、日本の古来からの文化伝統とも関係ない。

 

(参考)

人権の主体⑤(学説の比較)

  • A説:天皇・皇族は国民(ただし特例あり)←通説(多数説)
  • B説:天皇は国民ではない、皇族は国民(特別扱いあり)
  • C説:天皇・皇族は国民ではない ← 著者(佐藤氏)

 

佐藤幸治日本国憲法論p141)

A説(通説)…日本国憲法下では、明治憲法のような皇族と臣民との区別は存在しないはずであるとの基本的認識から、天皇および皇族はともに享有主体である「国民」とし、ただ天皇の職務および皇位世襲制からくる最小限の特例が認められるとする説

B説…天皇が象徴にしてあらゆる政治的対立を超越した存在であることを重く見て、天皇は享有主体である「国民」には含まれないとし、皇族については「国民」に含まれるとしつつ、天皇との距離に応じた特別扱いが認められるとする説

C説…行為の世襲制を重く見て、天皇および皇族ともに「門地」によって「国民」から区別された特別の存在にして基本的人権の享有主体ではないと説かれる説

(中略)結局C説のように解さざる得ないと思われる。

 

天皇は国民か?(上記と同一内容の部分引用)

 

以下は憲法の「国民」も箇所(意味)により異なるとの見解。

皇族の「人権」どこまで? 目につく「不自由さ」(朝日新聞)

高見勝利・上智大名誉教授

まず、日本に定住する国家構成員という広いくくりの「日本国民」(憲法10条)には、天皇も皇族も、私たちと同じように含まれていると考えられます。そのため憲法が保障する基本的人権は有しているというのが前提です。

ただ天皇については、「国の象徴」(同1条)であり、政治の大もとを決める「国民(主権者)」からは除かれます。またその地位は「世襲」(同2条)で、「国政に関する権能を有しない」(同4条)とされているため、職業選択や政治参加などの権利は認められないと解されています。

 

 

(了)

私のブログ選び

個人的にブログを選んだり使ったりの感想です。

 

2002年以降の日本のブログ普及より以前は、個人単位のインターネット発信には自分のサイトを、HTML を覚えてゴリゴリ書くかホームページビルダーなどのツールを使って自分で管理運用するかだったから、便利になったものだ。なおfacebook日本語版は2008年から。

 

私の基本要件は以下だが、これが意外と難しいと思う。

  1. とにかく無料アフィリエイトも不要)
  2. 普及してる(終了リスクが低い)
  3. 基本機能で十分(簡単操作、でも表は使いたい)

 

ブログ以前だが例えば2000年 第31回 アニメ全国総会(東京大会)ホームページは、既に自動削除され、更に 2019年 Yahoo!ジオシティーズ サービス終了済だ。

 

(教訓)IT業界は変化が早くて大手でも撤退はあるから予想は困難だ

 

 

シーサーブログ

2011年に翌2012年の「全国アニメ総会 東京大会」のお知らせ用に作成した。ブログのプロバイダもURLも、前年の静岡大会ブログを勝手に猿真似させてもらった(当時は紙を見てURL手入力も多かった)。

 

当時は将来性も懸念したが2020年現在も現役で、1画面で大抵の編集と設定ができ、標準で表も簡単に作れて、(年1回も更新してませんが)地味ながら初心者にも結構いいのではと思う。以下はPCでの編集画面。

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(教訓)まずは真似から。後から振り返ると意外と良かったりすることも。

 

アメーバブログアメブロ

2018年にサークル資料掲示用に選んだ。国内大手で終了リスクが低く、知人も使っており、各投稿の投稿日を自由に編集して好きな順序に固定できる(日々投稿のブログというより、固定ページを随時更新する保管サイトにできる)事が確認できたから。

 

しかし始めて見ると欲が出るもので

  • コミュニティの場違い感。日常の気軽な投稿が大多数な中で、固定的な資料保管(気にしなければ良いだけですが)
  • が標準で使えない(はあるが少し面倒)
  • 画像の月次容量制限がある(他ブログもあるとは思うが、制約がわかりにくく試行錯誤した)

 

(教訓)始めてから気になる事もあるから、まずは始めないと始まらない

 

はてなブログ

個人で好きに書くブログが欲しくなり、2019年に色々比較して「はてな」にした(このブログです)。

 

はてな」を選んだ理由は

  • 世界大手で無料のGoogle Blogerは、すぐポップアップが出て、良くも悪くも直感的(選択が何を意味しているかは選択しないと判らないが、即時反映なので戻しにくい)とアメリカンすぎ
  • 日本大手で無料のアメブロには場違い感(上述)
  • テキスト(文字)中心なら、実績ある「はてな」か、よりスマートな「note」か(企業ITもGUIよりCUI派)
  • 一画面で大抵のことができる(PC上は他のウィンドウも色々開いて整列も面倒なので画面の探し回りは避けたい)
  • HTMLモードもある(将来「やっぱり複雑な事もしたい」時も後悔しない)

 

1年やって基本は満足だ。

  • 一画面で大抵できる」は本当だった。これは快適!(シーサーも編集一画面だがプリビューは新規画面、はてなはプリビューも一画面内のタブ切替)
  • HTMLモードは普段は使わなくても時々重宝(標準の「見たまま」モードでは何故か以前の属性(タグ)が消せない場合など)
  • コミュニティは「はてな」内ブログの更新情報や評価マーク付け合いなどの刺激はある。ただ自分はランキングに出るような人気ブログでは無いので、コミュニティはそれほど関係ない気がしてきた(笑)
  • スマホ用アプリは便利。アメブロも同様だが、PCから投稿後にスマホで誤記発見/即修正できる。ただアプリから見るだけでもアクセス計上はいまいち(投稿直後に毎回数アクセスあり有難いなぁと思っていたら、自分のスマホからの再確認でがっかり)。またアプリからは画像貼付後のサイズ調整ができないみたい(知らないだけ?)

 

(教訓)気になっていた事が、実現するとあまり関係なかった事もある(苦笑

 

そのうちシンプル・イズ・ビューティフルなnoteもやってみたい。

 

(おまけ)アクセスの高い記事

面白い記事は書けないので(悲)、一日のアクセスは普段は数件、瞬間最大風速で数百件ながら、好奇心で確認してみました。

  

アメブロでは同人誌の表紙など絵の多いページが圧倒的。普段は更新も無く0件も多いのに突然に数十件あったりで、画像収集勢の方かなと推測(記録目的なので意図的に画像解像度は下げてますが)。絵の描ける方はほんと尊敬(学生時挫折者)。

 

はてなでは継続的にアクセスが高いのはこちら。

 

自分の意見を書いたというより、自分のためにネット検索結果を保管しただけの地味な記事ばかりで「何故?」と思ったが、どうもGoogle/Yahoo!検索などのキーワード検索で割と上位に出るようだ。逆に言えば、ちょっと専門的で類似記事が少ない分野。

 

つまり自分で色々書いたものほどアクセスが低い(苦笑)。結局「自分が書きたいものではなく、自分が読みたいものを書くと良い」は正しいのかも。

 

ただ以下も意外と継続的にアクセスされるのは少し不思議。ブルート・フォース・アタックとか話題のワードがネット検索にヒットだろうか。ここらは予測困難/結果論だ。

 

(教訓)アクセス数はタイミングや運も大きいのであまり気にせず、好きに書くのが良い、と考えないと悲しい(笑

 

(了)

 

アニメ「ガルパン」シリーズ感想

アニメ「ガールズ&パンツァー」のまとめ観の感想です。

 

TVシリーズ、「劇場版」、「最終章 1話」は既視なので、未視だったOVA「これが本当のアンティオ戦です!」、「総集編」、「最終章 2話」をU-NEXTで見た。時系列で「劇場版」、「最終章 1話」も見返した。

 

ミリオタ向け美少女ハーレム要素ながら、中身は古典的な「弱小寄せ集めチームが強豪に立ち向かう」な「がんばれ!ベアーズ」路線の学園生活物というか。

 

 

TV版

  • TV 1話ラストは「ザブングル」の1話ラスト以来に驚いた。子供時代はWWIIドイツ戦車プラモ中心だったが、主人公に4号戦車は渋すぎる。この作品は戦車の視点が普通ではない、と気付いた瞬間だった。
  • しかし拘りを入れながら、ベースは学園生活ものが監督/脚本のうまさ。
  • 「戦車道」はご都合設定だが薙刀&クラシックレースカーか。しかしビジュアル理由ながら被弾中でも車体から身を出し続けてるのは、着弾描写がリアルなだけに毎回どうしても気になる。常に綺麗/確実な白旗だけマンガ的シンボル。
  • 黒森峰とかネーミングがうまくて、さすが島田フミカネ原案。
  • この作品の功績は「戦車は結構速い」(だから電撃戦もできる)を一般認識化したことかと。「2001年宇宙の旅」で「宇宙船は流線形でなくて良い」、「ジュラシックパーク」で「恐竜は鳥の仲間で敏捷」なカルチャーショックを与えたように。従来は「空飛ぶゆうれい船」や「エヴァ」でも戦車はゴゴゴな威圧感重視でスピーディーな描写は少ないと思う。朝霞の自衛隊観閲式で見た戦車(61式、74式)の行進もかなり早かった。

 

「劇場版」

  • ひたすらチェイスシーンで持たせる、音響がいい、最後はセリフも消える、そしてスパッと終わる潔い構成だ。
  • しかし各ファンには悪いが各描写で全チームを毎回描く必要があるのか。
  • 戦車の居住性に言及した「零士のメカゾーン」愛読者なので、高速アクション反復で乗員が到底無事とは思えないのが毎回つい気になる。
  • 世代差ある相手に、いちいち脆弱箇所を狙ってる、高低差ある画面もわかる。ヘッツアーの飛行中射撃もギャグでいい。しかしラストの遊園地の山は、シリアスシーンで敵に至近距離で弱点の底部を何回も晒して納得できない(とつい思う、損な性分)。

 

「これが本当のアンツィオ戦です!」

  • うーんTVで実質イタリアが数秒の扱いにされたのが面白かったので複雑だ。
  • しかし地味な装填手(現在は自動化)の努力と友情がさりげなく描かれていて、これまたうまい。

 

「最終章 1話・2話」

  • これも音響だけでも迫力ある。
  • ベルバラはリアルタイム世代なので笑える。安藤の目もアンドレ感ある。
  • 旧日本軍モデルの知波単が突撃バカなのも笑えるが、意外に善戦しても決定力は無いので強敵感は出ないのは辛い。

 

(おまけ)兵器趣味作品について

 最後に。昔からこの手の作品やイベントに「兵器を趣味扱いは不謹慎、子供に良くない」「趣味は自由だ、批判は言論統制」議論があるが、「両論あるのが当然で健全」かと思う。

 

言論も趣味も自由だが、子供も通る公道で殺人や凌辱のTシャツを着るのは非常識だろう。私は子供のころから戦争ものの本や映画を熱心に見ていたが、海軍将校の父親の家にはシベリア抑留の本が多く、母親は夜の飛行機爆音はB29を思い出させると心底嫌がっていた。私自身も「宇宙戦艦ヤマト」も最初に絵だけ見た時は「大勢死んだ船に、羽を生やして、なんと不謹慎な」と思った。しかし「健全な作品しか読めない」管理社会も異常だろう。江戸川乱歩手塚治虫も二次創作も不健全要素の山盛りだ。

 

社会認識は時代でも変化するが、個人レベルは一律ではない。また価値観は多数派が正義な訳でもない。少なくとも税金運営される役所の作品イベント支援は批判もあって当然だ。手塚治虫宮崎駿富野喜幸も兵器の魅力と忌避感は同時に持っていたと思う。

 

また戦争/兵器/殺人への肯定/忌避/嫌悪感は、左翼/右翼(進歩派/保守派)とは関係ないし、安易なレッテル張り合戦では解決しない。趣味は趣味、配慮は配慮で、それぞれ当然だし、両方存在が自然と思う。

 

ところで私の子供の頃の愛読書はこちら(画像はネット拾い物)。類似書籍の中でも圧倒的に充実していたと思う。またプラモデルは現存物のスケール物で基本はWW II と思っているから、ガンプラやフィギュアは今もピンとこない。

 

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(了) 

日本学術会議「推薦に基づいて任命」関連法律まとめ

2020年10月に発生した日本学術会議の任命拒否問題で、関連しそうな法律の条文、判例、国会議事録などを客観資料(なるべく原文)を中心に、今更ながらまとめてみた。

 

 

日本学術会議

日本学術会議法には以下条文がある。

(前文)
日本学術会議は、科学が文化国家の基礎であるという確信に立つて、科学者の総意の下に、わが国の平和的復興、人類社会の福祉に貢献し、世界の学界と提携して学術の進歩に寄与することを使命とし、ここに設立される。

 

第一条 この法律により日本学術会議を設立し、この法律を日本学術会議法と称する。
日本学術会議は、内閣総理大臣の所轄とする。
日本学術会議に関する経費は、国庫の負担とする。

 

第三条 日本学術会議は、独立して左の職務を行う。
一 科学に関する重要事項を審議し、その実現を図ること。
二 科学に関する研究の連絡を図り、その能率を向上させること。

 

第七条 日本学術会議は、二百十人の日本学術会議会員(以下「会員」という。)をもつて、これを組織する。
会員は、第十七条の規定による推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する

 

第十七条 日本学術会議、規則で定めるところにより、優れた研究又は業績がある科学者のうちから会員の候補者を選考し、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣に推薦するものとする。

 

ポイントは以下で、議論の中心は4番目。

  1. 「平和的復興」との文言(後の「軍事研究に関する宣言」に関連)
  2. 内閣(政府)配下だが独立性規定がある(独立性は、会計監査院、検察庁日本銀行などにもあり、その程度が議論となる)
  3. 会員120名未満の状態は違法状態のため解消が必要(政府見解)
  4. 日本学術会議の推薦に基づいて総理が任命」の拘束力の程度。

 

朝日新聞の解説では「~に基づいて任命」の任命権者に対する拘束力は、「~により」や「~に従い」よりは弱く、「意見を聞いて」や「尊重」よりは強い。ただし単純に文言で決まるのではなく、各法令での任命権者の責任を考える必要がある。

 

つまり「人事は任命権者の自由(自由裁量)」も「推薦通り以外は許されない(裁量権ゼロ=覊束裁量)」も両方極論といえる。

 

日本学術会議法の制定時の国会答弁

1983年(昭和58年)の日本学術会議法制定時に、この「推薦に基づいて任命」の趣旨や内容は国会審議されている。

 

国会議事録 昭和58年5月12日 参議院 日本学術会議法の一部を改正する法律案(内閣提出)

148 手塚康夫
○政府委員(手塚康夫君) 前回の高木先生の御質問に対するお答えでも申し上げましたように、私どもは、実質的に総理大臣の任命で会員の任命を左右するということは考えておりません。確かに誤解を受けるのは、推薦制という言葉とそれから総理大臣の任命という言葉は結びついているものですから、中身をなかなか御理解できない方は、何か多数推薦されたうちから総理大臣がいい人を選ぶのじゃないか、そういう印象を与えているのじゃないかという感じが最近私もしてまいったのですが、仕組みをよく見ていただけばわかりますように、研連から出していただくのはちょうど二百十名ぴったりを出していただくということにしているわけでございます。それでそれを私の方に上げてまいりましたら、それを形式的に任命行為を行う。この点は、従来の場合には選挙によっていたために任命というのが必要がなかったのですが、こういう形の場合には形式的にはやむを得ません。そういうことで任命制を置いておりますが、これが実質的なものだというふうには私ども理解しておりません

 

150 高岡完治
○説明員(高岡完治君) ただいま御審議いただいております法案の第七条第二項の規定に基づきまして内閣総理大臣が形式的な任命行為を行うということになるわけでございますが、この条文を読み上げますと、「会員は、第二十二条の規定による推薦に基づいて、内閣総理大臣がこれを任命する。」こういう表現になっておりまして、ただいま総務審議官の方からお答え申し上げておりますように、二百十人の会員が研連から推薦されてまいりまして、それをそのとおり内閣総理大臣が形式的な発令行為を行うというふうにこの条文を私どもは解釈をしておるところでございます。この点につきましては、内閣法制局におきます法律案の審査のときにおきまして十分その点は詰めたところでございます。

 

281 中曽根康弘
国務大臣中曽根康弘君) 学術会議法の改正につきまして、従来の選挙制度がいわゆる推薦制に変わりましたが、これはいままでの経緯にかんがみまして推薦制というふうになったのであるだろうと思います。しかし、法律に書かれてありますように、独立性を重んじていくという政府の態度はいささかも変わるものではございません学問の自由ということは憲法でも保障しておるところでございまして、特に日本学術会議法にはそういう独立性を保障しておる条文もあるわけでございまして、そういう点については今後政府も特に留意してまいるつもりでございます。

 

政府答弁では「多数推薦から一部を選ぶのではない、120名の推薦を形式的に任命する、実質的な任命ではない」との趣旨を説明した。更に中曽根大臣(後の首相)は搭乗分を、独立性や「学問の自由」にも関連づけて説明した。

 

次に「~に基づいて任命」の文言の例を見ていきたい。

 

日本国憲法

日本国憲法の以下条文は有名だ。

第六条

天皇は、国会の指名に基いて内閣総理大臣任命する

天皇は、内閣の指名に基いて最高裁判所の長たる裁判官を任命する

 

「~に基づいて任命」だが、天皇拒否権は無い。以下が考えられる。

  1. 「任命ならば任命権者の裁量は当然」とは限らない
  2. 「推薦」より「指名」の方が任命権者に対する拘束力が強い
  3. 天皇は一切の政治的権限を持たない

 

つまり「形式的な任命(拒否権なし)も存在する」とも言えるし、「2,3が日本学術会議法と異なり単純比較できない」とも言える。

 

脱線するが、内閣に従い機械的に任命するしかない天皇制には1946年に三笠宮が「内閣の奴隷」と批判した。個人的には同感で、人権無視で権威付けだけの天皇国事行為は憲法から全廃すべきと思う。

 

労働組合

労働組合法にも「~に基づいて任命」がある。

第十九条の三 中央労働委員会は、使用者委員、労働者委員及び公益委員各十五人をもつて組織する。
2 使用者委員は使用者団体の推薦(使用者委員のうち四人については、行政執行法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第四項に規定する行政執行法人をいう。以下この項、次条第二項第二号及び第十九条の十第一項において同じ。)の推薦)に基づいて労働者委員は労働組合の推薦(労働者委員のうち四人については、行政執行法人の労働関係に関する法律(昭和二十三年法律第二百五十七号)第二条第二号に規定する職員(以下この章において「行政執行法人職員」という。)が結成し、又は加入する労働組合の推薦)に基づいて、公益委員は厚生労働大臣が使用者委員及び労働者委員の同意を得て作成した委員候補者名簿に記載されている者のうちから両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する

 

労働組合法では、この「~に基づいて任命」における任命権者の裁量権の範囲について判例が複数あり、うち3つを見てみたい。

 

1983年2月24日 大阪地裁 判決

原告(中立系労組)の主張(複数労組の比例でない任命は裁量権濫用)

被告は、右通牒の「産別、総同盟、中立等系統別の組合員数に比例させ
る」という規準を無視し、本件任命処分を行つた。(略)本件任命処分は、被告が裁量権を濫用した違法なものであるから、その取消しを求める。

 

 判決

知事は、推薦があつた候補者の中から労働者委員を任命しなければならず、労働組合から推薦されなかつた者を労働者委員に任命することは裁量権の範囲を逸脱したものとして許されない。
 また、前に説示したように本件推薦制度の趣旨に照らし、労働組合から推薦された者全員を審査の対象にしなければならないから、推薦された者の一部をまつたく審査の対象にしなかつた場合にも、推薦制度の趣旨を没却するものとして、裁量権の濫用があつたとしなければならない。
 しかしながら、推薦は、指名とは異なるから、推薦に基づいて任命する場合の任命権者には、裁量権が与えられており、推薦された者が審査の対象とされた以上、推薦された候補者が労働者委員に任命されなかつたからといつて、直ちに裁量権の濫用があつたとするわけにはいかない。

 

 

「推薦」なので任命者には裁量権があり、この裁判では濫用なしとの判決だが、単純な自由裁量ではなく、推薦の中から任命しなければならず、推薦全員を審査しなければならないとしている。

  

1998年9月29日 東京高裁 判決

 原告(労働組合側)の主張

内閣総理大臣、本件任命行為において、控訴人各組合か推薦する候補者を全く審査の対象としていない。また、仮に、形式的に審査を行ったとしても、それは、内閣総理大臣が、連合傘下の労働組合の推薦という一事のみを重視して、故意に非連合系の労働組合である控訴人各組合の推薦する候補者を除外して任命するという差別意思に基づくものである。したがって、本件任命行為には、裁量権の濫用又は逸脱がある。

 

判決(要旨)

中央労働委員会の労働者委員の任命については、任命権者てある内閣総理大臣の広範な裁量にゆだねられており労働組合の推薦に基づく候補者を当初から審査の対象から除外したり、あるいはこれを除外したと同様の取扱いをするなど、労働組合法が推薦制度を設けた趣旨を没却するような特別の事情がない限り、裁量権の濫用とはならない

 

これも最初の大阪地裁と基本は同じで、任命権者の「広範な裁量権」を認めており、この裁判では濫用なしと判決したが、単純な自由裁量ではなく「推薦を当初から審査から除外するのは裁量権の濫用」なども併記している。

 

2015年1月20日 札幌地裁 確定判決

原告(労働組合側)の主張(要旨)

北海道知事がした上記労働者委員の任命処分は,特定の系統に属する労働組合の推薦を受けた候補者のみを労働者委員に任命し,他の系統に属する労働組合の推薦を受けた候補者を排除する差別的なものであり,違法である

 

判決

(要旨より)

 上記任命処分は,北海道知事がその判断の過程を誤ってしたものであるといわざるを得ず,北海道知事がその裁量権の範囲を逸脱してした違法な処分であるといわなければならない

 

(全文より)

当該再任候補者の前期の労働者委員としての職務遂行の具体的な状況について必要な調査及び検討をせず,それにより,処分行政庁の裁量的判断の基礎となる事実である再任候補者の人格,識見の認定が十分にされなかった結果,系統別の選任割合が十分に考慮されず,処分行政庁の判断が左右されたものであって,本件任命処分は,重要な事実の基礎を欠くものであり,処分行政庁に付与された裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものであるといわなければならない。

 

これも任命権者の「裁量権」を認めているが、この判決では、審査の内容が不十分で、

裁量権の範囲を逸脱し違法と認定した。当判決は地裁で確定した。

 

判例からは以下が言えると考えられる。

  1. 労働組合法の「推薦に基づいて任命」は「自由裁量」ではない
  2. 調査不十分による判断であれば「裁量権の判断を逸脱し違法」となる
  3. 言い換えれば任命者側は「適正な調査・判断」の説明責任がある

 

 

なお3判例とも複数の労働組合が推薦したケースで、日本学術会議のケースとは違いがある。

 

まとめ

  1. 日本学術会議には独立性規定があり、過去の国会答弁では政府側が「任命は形式的、部分任命はしない、独立性や学問の自由との関連」を答弁。
  2. 憲法の「基づいて任命」は拒否不可。裁量の無い形式的任命権も存在する。
  3. 労働組合の「基づいて任命」は複数判例で「裁量権」を認めているが、「自由裁量」ではなく、被推薦人全員の審査義務があり、判断によっては「裁量権逸脱で違法」となる。
  4. なお日本の裁判は個別主義で、判決の効力はその訴訟にのみ有効。判決は判例になるが、あくまで類似ケースでの目安で、判例変更もありうる。従って特定の判決で「正しい」などと断定はできない。

 

一般常識で考えれば、任命拒否の理由で以下などは妥当に思える。

  • 禁治産者など法的な欠格事由の該当者
  • 論文擬装発覚など推薦の元となった業績に疑惑が発生した場合
  • 推薦後に病気事故などで活動が長期間困難になった場合

 

しかし任命拒否の理由が仮に以下ならば、違憲・違法と思える。これは日本学術会議に限らず、公務員採用、国立大学入学、更には運転免許や生活保護支給などでも共通だ。

  • 人種、信条、性別、社会的身分又は門地(憲法14条)

 

ネットでは「公務員の任命は、任命権者の自由なのが当たり前」との主張もみかけるが、仮に公明党政権なら反創価学会、仮に共産党政権なら反共主義者は任命拒否できる、というのだろうか。

 

仮に任命拒否理由が「政府の政策に対する反対表明」など思想信条による差別ならば、違憲・違法となる可能性が高いと考えられる。

 

関連情報リンク

日本学術会議

 

記事

 

ブログ

 

(了)

 

 

アメリカ大統領選「大量不正は未発見」情報まとめ

11/8 アメリカ大統領選でバイデンが勝利宣言した。トランプ陣営は「不正選挙」を主張して法廷闘争中だが、各報道機関の検証では根拠のある「大量不正」の情報は確認できておらず、法廷闘争(約60件)は敗訴続出だが、フェイクニュースも多い。これらの訴訟状況や報道などをまとめてみた。 (最終更新 2020/1/13 訴訟状況)

 

最終的には「大量不正」の主張は全て裁判所に却下され、11/7 連邦議会バイデン勝利が正式認定された。

 

  

■訴訟状況

(11/6 BBC

・ミシガン州の開票打ち切り要求は却下

ペンシルヴェニア州の開票停止要求は棄却

ジョージア州の開票停止要求は棄却

 

(11/9 BBC)

ペンシルヴェニア州で立会人のアクセス不十分と主張、選管は適切に対応と主張

ペンシルヴェニア州で集計対象の消印の裁判所決定を問題視

ミシガン州で作業監視のアクセス不十分と提訴、証拠不十分で却下

ウィスコンシン州で再集計要求の予定

ネヴァダ州で「転出後の不法投票が何千人」と発表、リストは証拠にならず

ジョージア州で「票の処理に問題」主張、証拠無しで却下

アリゾナ州で投票機に問題と主張、審査中

 

(11/15 BBC)

アリゾナ州の再集計要求は取り下げ

ミシガン州の選挙結果認定阻止要求は棄却

・ペンシルヴェニア州の郵便投票の無効主張は却下

 

(11/19 Explained)

ペンシルベニアで唯一の勝訴(選挙日当日までに発送され、選挙日の3日以内の11月6日までに到着した郵便投票で不備があったものは本来11月9日までに訂正しなくてはいけないものを、12日まで延長した州務長官命令を無効にした。この裁判で影響される票の数はごく少数であり、選挙の結果には影響を与えません。)

 

 (11/19 USA TODAY)

・トランプ陣営の訴訟 18件中、勝訴 2件、敗訴/棄却/撤退 8件、保留中 8件。

  1. ペンシルバニア州連邦裁、不在者投票者のための暫定投票、11/6 敗訴
  2. ペンシルベニア州最高裁、開票立会人のアクセス、11/17 却下

  3. ペンシルベニア州連邦裁、投票用紙の「修正」、11/3 却下

  4. ペンシルベニア州連邦裁、郵便投票者の身分証明期限の延長、11/12 勝訴(延長権限無し)

  5. ペンシルベニア州最高裁→連邦最高裁、郵送投票の消印、敗訴

  6. ペンシルベニア州郡裁判所、情報が不完全な不在者投票保留中

  7. ペンシルベニア州連邦地裁、2段階投票システム、保留中

  8. ペンシルベニア州裁判所、不在者投票の計票、保留中

  9. ミシガン州裁判所、開票へのアクセス、11/5 棄却 (上訴中)

  10. ミシガン州連邦地裁、投票処理の監視許可、保留中

  11. ジョージア州上級裁、不適切計上可能性の53票、11/5 却下

  12. アリゾナ州上級裁、油性ペン(シャーピー)使用への異議、11/7 取り下げ

  13. アリゾナ州上級裁、対面投票の拒否、11/12 取り下げ

  14. アリゾナ州上級裁、投票センターの計票能力、保留中

  15. ウィスコンシン州、2郡の再集計要求、保留中(部分的な再集計中)

  16. ネバダ州地裁、投票機故障の影響を受けた一部投票所の時間延長、認められた
  17. ネバダ州連邦地裁、3,000人以上の有権者の不適格主張、11/19 却下

  18.  ネバダ州地裁、州選挙の「詐欺と不正」の主張、保留中

 

(11/19 ロイター)

・ジョージア州地裁、期日前投票プロセスの不適切変更の主張、却下

・ペンシルベニア州裁判所、約2200票無効の主張、却下(証拠無し) 

・アリゾナ州裁判所、バイデン氏勝利認定差し止め請求、棄却

   

(11/22 ロイターCNN)

ペンシルベニア州連邦地裁、郵便投票約700万票の無効主張を却下(証拠無し)

 

(11/28 BBC)

・ペンシルバニア州連邦高裁、選挙不正主張を棄却(証拠無し)

 

(11/29 CNN)

・ペンシルベニア州最高裁、郵便投票の無効主張を棄却(全会一致、再提訴不可)

 

(12/4 WSJ)

・ウィスコンシン州最高裁、郵便投票の無効・再集計等の主張を棄却

 

(12/9 ロイター、AFB)

連邦最高裁、ペンシルベニア州郵便投票の無効主張を却下(全会一致)

トランプ氏側は複数の激戦州で数十件の訴訟を起こしているが、そのほとんどは退けられている。

 

(12/10 ロイター)

・テキサス州と17州が、激戦4州の投票結果無効を連邦最高裁に提訴

各州とも共和党関係者が原告

テキサス州がこの訴訟で勝利する可能性はほとんどなく、訴訟には法的価値もない

最高裁がこの案件を受理する可能性はほぼない

 

(12/12 BBC)

・連邦最高裁、テキサス州による戦4州投票結果無効主張を却下

 連邦最高裁は11日、短い判決文で、テキサス州には原告適格(訴訟を起こすための原告としての資格)がないとして、同州の訴えを退けた。

各州の一般投票の結果が認定されたことで、予定通り14日に全米各地で選挙人団投票が行われる。その時点でトランプ氏が法的に争える道は閉ざされることとなる。

 

 (12/21 NHK)

・トランプ陣営がペンシルバニア州の郵便投票違法を連邦最高裁に審理要求

訴えが認められる可能性は今回も極めて低い

 

(1/12 ロイター)

・米最高裁、大統領選巡る訴えを相次ぎ退ける

最高裁は、トランプ氏が敗北したウィスコンシン州ペンシルベニア州の選挙結果に異議を唱えた訴訟3件など、トランプ氏側の訴え8件の審理を優先することを予想通り拒否した。

 

■再集計/選挙人投票

11/18  ジョージア・ウィスコンシン州再集計、バイデン氏勝利覆る公算小

 

11/20 ジョージア再集計完了、バイデン勝利変わらず 

  

11/29 ウィスコンシン州再集計完了、バイデンのリード増加

 

(12/2 Bloomberg)

アリゾナ、ウィスコンシン両州は11月30日、バイデン氏が勝利して再集計を求められた激戦州の中で最後に開票結果を公式に認定した。ジョージア州では再集計が行われているが、結果が覆る見込みはない。トランプ陣営はウィスコンシン州の2つの郡の再集計を求めたが、逆に票差が広がる結果となった。

 

(12/5 日経)

カリフォルニア州のバイデン勝利公式認定で、バイデン選挙人が公式に過半数

 

(12/8 BBC)

ジョージア州、3回目の再集計でもバイデン勝利

 

(12/14 BBC)

14日の各州選挙人投票でバイデンが過半数を獲得し、当選が正式に確定。

 

 (1/7 BBC)

米議会、バイデン氏の勝利を認定 暴徒による妨害を経て

 議会では6日から上下両院の合同会議が開かれ、州ごとに選挙人団の投票を開票。バイデン次期大統領とカマラ・ハリス次期副大統領の勝利を最終認定する手続きが行われていた。

ペンシルヴェニア州アリゾナ州の開票結果に対しては一部の共和党議員から異議が唱えられたが、上下両院がいずれも投票によってそれを退けた。

議会の結果認定により、昨年11月3日投開票の大統領選は最終決着した。バイデン氏は今月20日、46代目のアメリカ大統領に就任する。

 

アメリカ政府

死者投票」、「国土安全保障省(DHS)と国土安全保障省国家安全保障局(CISA)がセキュリティ対策を講じた投票用紙を印刷」などは事実ではない。

 

(11/13 ロイター)

米国土安全保障省サイバーセキュリティー・インフラストラクチャー・セキュリティー庁(CISA)は12日、今月の大統領選で票が失われた形跡は全くないとの調査結果を発表した。両団体は「票が取り除かれる、失われる、改ざんされる、不正なアクセスを受けるといったことが起きた形跡は全くない」と表明。

   

(12/2 BBC)

ウィリアム・バー司法長官は1日、大統領選で大掛かりな不正があったとするドナルド・トランプ大統領の主張について、裏付ける証拠を司法省は発見できていないと述べた。

 

(12/22 BBC)

バー司法長官は21日、記者会見で、今年の大統領選の不正やバイデン次期大統領の息子のハンター氏に対して捜査を行う特別検察官の任命について問われ、任命する計画はないと明らかにした。

バー氏はトランプ氏の支持者から最近要求が出ている投票機器の押収についても否定した。「連邦政府が押収を行うための根拠がない」としている。

 

 ■BBC

(11/7)

死者投票は事実ではない。「不自然な大量票」は一括計上は通常(バイデンのみは単純ミスで訂正済)。投票率100%超は有権者数が古い。サインペン(油性ペン)は無関係。

 

(11/16)

死者投票」「ミシガンで1万人の死者が不在者投票」などは「単純な統計上の問題」。

 

(11/18)

  「ドミニオンは全米で270万のトランプ票を削除した」、「ドミニオン・ヴォーティング・システムズは過激な左派が所有している会社」は証拠なし。

 

AP通信

多数の証拠や事例」「開票監視の拒否」「民主党が立会人出入り禁止の提訴」は事実が確認できない。「投票日後に届いた票」は裁判所による例外。

AP Fact Check on Twitter: "An #APFactCheck reviews claims made by President Trump at the White House on Thursday about vote counting.

 

■ロイター

投票用紙廃棄は一部事実(9月に9票、ミスの模様)だが、大量の写真はイメージ画像。

Fact check: Inaccurate details about ‘discarded’ military ballots found in Pennsylvania

  

ウォール・ストリート・ジャーナル

社説で「トランプ氏は法廷闘争する権利はあるが、それには不正投票の証拠を示す必要がある」と述べ、根拠なく「不正」を口にするトランプ氏の姿勢を批判した。

 

■ニューヨークタイムス

(11/13 追加)

全米の選挙管理委員会は不正発見せず。虚偽の主張との闘い。

 

■HUFFPOST

バイデン氏の「最大規模の不正投票組織を作った」発言は、全文を見ると全く違う意味

 

■3大テレビ局(ABC, CBS, NBC)

組織的な不正があったとするトランプ氏の主張が根拠に欠けるとして中継打ち切り

 

■FOXニュース

ウィスコンシン州不正票調査で州兵が投票所に」は誤り。印刷ミスにより機械計測できない投票用紙13,500枚を正しい用紙に転記する作業のために州兵が呼ばれた。

Wisconsin county using 20 National Guardsmen to transfer data from misprinted ballots to clean ones

 

(11/11 追加) 

「ドナルド・トランプには、選挙の不正行為を法廷の場で追求する権利がある。しかし、今のところは、深刻な不正行為と考えられるような事案は一つも確認されていない」と、FOXのキャスターのクリス・ウォレスは述べた。

 

■CNN

現在のところ大規模な不正を示唆する信頼に足る証拠は見つかっていない

 

BloomBerg

バー米司法長官は9日、大統領選挙で不正行為があった可能性を巡り司法省当局者が調査を開始することを認めた。ただ、決定的な証拠はないとしている。

 

■Bridge Michigan

投票装置がミシガン州での誤った不正の主張を助長。(略)ミシガン州のジョスリンベンソン国務長官は、選挙管理ソフトウェアの更新に郡が失敗したことによって引き起こされた「人為エラー」と説明しました。個々の投票機の結果を組み合わせるために使用されるElectionSourceソフトウェアは適切に構成されていませんでした。国務省は「実際の投票総数には影響しませんでした」と述べました。

 

■Tech Crunch Japan

(11/15 追加)

(要約)米国の約半数の州に投票集計ツールを提供するDominion Software(ドミニオンソフトウェア)が数百万票を「削除」したとのニュースは、明確に否定された。出口調査やその他の選挙関連の評価を行う会社であるEdison Research(エジソンリサーチ)の社長であるLarry Rosin(ラリー・ロージン)氏は、「不正投票の証拠はありません」と述べた。選挙委員と州の幹部は、選挙は驚くほど円滑に運んだと口をそろえて明言した。連邦委員会(CISAリリース)は「米国史上最も安全な選挙でした。投票システムが投票を削除した、失くした、投票内容を変更した、何らかのかたちで侵害したという証拠はありません。我々は選挙の安全性と完全性に最大限の自信を持っていることを保証します。」。

 

■FactCheck.org

シャーピーペン(油性ペン)で記入したトランプ票がアリゾナで計上されなかった、との虚偽が選挙後に広範に拡散された。

The falsehood that votes for President Donald Trump weren’t counted in Arizona because the ballots were filled out with Sharpie pens spread widely on the day after the election.

 

■NYポスト

トランプ支持のタブロイド紙のNYポスト紙は12/28の一面で「狂乱を終わらせよ」。社説でトランプを「世界が腐敗していると怒鳴り散らすマールアラーゴのリア王」になると警告。

 

YouTube

ユーチューブチャンネルが不正めぐる虚偽の主張を宣伝(調査中)

 

フェイスブック

FBが不正確情報に措置 トランプ氏支持グループを削除

 

共和党

共和党ロムニー議員)
「選挙が不正に操作され、腐敗し、盗まれたと主張することは誤りだ」

 

(ブッシュ前大統領の法律チーム)
 トランプ氏が郵便と不在者投票の不正選挙疑惑を提起した訴訟に対し「全くその価値がない」。「これまでトランプ氏側が起こした訴訟は全く価値もなく、勝つこともできないだろう」。

 

(11/9 追加)

共和党のロブ・ポートマン上院議員は声明で(略)「トランプ陣営は不正選挙の主張を裏付ける証拠を提示しなければならない」と表明。

 

(12/15 WSJ)

 バイデン氏当選、共和党幹部の多くも容認 選挙人投票の結果受け( 共和党上院ナンバー2のジョン・スーン議員、同ナンバー4のロイ・ブラント議員)

 

 

日本経済新聞

激戦州での得票差が開き、支持者から巨額の資金を募って法廷闘争を続けても結果を覆すのは難しいとの見方が多い。与党・共和党からも選挙結果は変わらないとの見方が出ている。

 

(11/11追加)

トランプ大統領は選挙不正を主張して敗北を認めず、激戦州で訴訟を起こしている。(略)トランプ陣営の不正疑惑の主張は裁判所でおおむね認められていない

 

■読売新聞

(11/11 追加)

トランプ氏は9日も大統領選で不正があったとの主張を繰り返した。陣営も同日、ペンシルベニア州当局による州の選挙結果の認定を差し止めるよう求め、連邦地裁に提訴した。(略)これまでトランプ氏側から不正を裏付ける具体的根拠は示されていない

 

朝日新聞

トランプ氏は今回の大統領選を「不正選挙」と主張し続けており、(中略)法廷闘争を続ける考えを強調した。ただし、いずれの訴訟も具体的な証拠は示しておらず、次々と敗訴しているのが現実だ。

 

毎日新聞

トランプ大統領の一連の発言を、米主要ファクトチェック機関が「事実でない

 

(11/11 追加)

「米国の主要政治サイト『リアル・クリア・ポリティクス(RCP)』が激戦州ペンシルベニアでバイデン氏の当選確実を取り下げた」は誤り。

 

(11/17 追加)

「選挙不正の証拠が保存されたスペイン企業のサーバーがドイツ・フランクフルトで米軍に押収された」は誤り。情報の元は連邦下院議員、ルイ・ゴーマート氏(共和党)の発言。このスペイン企業「サイトル」は「米国でのサービス用サーバーは全て米国内に存在する。フランクルトには事務所もサーバーもない」と明確に否定。米陸軍の報道官も「そのような主張は虚偽だ」と明言。

 

産経新聞

トランプ陣営は、集計結果を覆すような「大規模な不正」があったことを示す具体的な証拠や、説得力のある根拠を示すに至っていない

 

東京新聞

激戦州で「不正投票」 トランプ氏が根拠なき訴え乱発

 

時事通信

郵便投票をめぐる不正を訴え、法廷で「徹底抗戦」する同氏の戦略は正当性や大義を欠き、世論の支持は広がらなかった。(中略)各激戦州で陣営が起こした訴訟はすぐに壁にぶつかった。無効のはずの郵便票が集計されたと集計中止を求めたジョージア州の裁判は、約1時間の審理で「証拠がない」と却下。「不正を十分に監視できない」と主張したミシガン州では、既に集計が終わっていることを理由に訴えを退けられた。

 

NHK

(11/15 追加)

(抜粋)トランプ陣営の法廷闘争で、裁判を担当する弁護団の撤退が相次ぐ。ペンシルベニア州の裁判を担当する陣営の弁護団が裁判への関与をやめると明らかにした。先週、アリゾナ州でも裁判を担当していた弁護団が弁護をやめることを明らかにした。大規模な不正があったとする主張を裏付ける証拠が示せない中、弁護団が相次いで撤退することで裁判の見通しは厳しいとの見方が広がっている。

 

ニッポン放送

今回は、トランプ陣営の方から、「不正行為があった」とか、「投票箱が消えた」というツイートは流れているのですが、実際にそれを裏付けるような現実が何もなく、目撃者もいないので、法廷闘争に持ち込もうとしても、証拠がないということで、そもそも最高裁が取り合わないのではないかという報道になっています。

 

日本テレビ

法廷闘争に持ち込む構えを崩さないトランプ大統領ですが、CNNは、ホワイトハウス関係者の話として、メラニア夫人が大統領に敗北を認めるよう何度も促していると伝えています。

 

(11/9 14:00 追記)

トランプ陣営の幹部が「(メラニア夫人が敗北を説得との)報道は事実ではない」と否定。

論座

(要約)バイデンの次男のスキャンダル(ノートパソコンゲート)は、情報が本当か証拠がないため大手報道機関は取り上げず、TwitterやFacebookは投稿制限した。またこの情報は陰謀論をとりあげるいつものメンバーから発信され、その内容が4年前のヒラリー・クリントンの「ピザゲート」陰謀論とそっくりだった。

 

Wedge

(11/15 追加)

(抜粋)ペンシルべニア州ではこれまでに開票中止などを求めた訴えなど6件が却下され、ミシガン州でも票の確定を遅らせるよう提訴したが、「不正の証拠がない」として退けられた。アリゾナ州では、トランプ陣営が「集計の担当者が選挙機器を操作してトランプ票を無効にした」などと訴えたが、証人の証言が怪しくなり、申し立てを断念した。国土安全保障省のサイバーセキュリティ庁は声明で、「選挙は米史上、最も安全に行われた。選挙機器が票を削除したり、なくしたりした証拠は一切ない」と発表した。さらに不正選挙を監視するために任命された16人の連邦検察官は13日、バー司法長官に書簡を送り、「重大な不正の証拠はなかった」と意見具申した。

 

菅総理大臣

(不正の話ではありませんが)

ジョー・バイデン氏及びカマラ・ハリス氏に心よりお祝い申し上げます。

  

■(参考1)郵便投票のシステム

 

 

なお各州の郵便投票は、今回はコロナ禍で利用数(週によっては投票期間も)は増えたが、制度は大半は従来からで実績があり多数の不正は報告されていない。

 

■(参考2)今後の予想

トランプは敗北宣言を拒否中だが、伝統的慣習であって法的要件ではない。1月20日に新大統領が就任すれば失職する。

 

選挙不正は州裁判所の管轄だが、現在のところ必要な根拠が提示されないため却下(棄却)続出中。

  

なおブッシュ(子)対ゴアの法廷闘争で連邦裁判所が激戦州となったフロリダの再集計停止を命じたのは、選挙人確定(新大統領就任)に間に合わないとの理由。連邦裁判所は現在保守派多数(6:3)だが、各州の選挙に直接介入する権限は無い(連邦制)。

 

ネット話題の「投票用紙すかし」などは、仮に全マスコミが黙殺しても、トランプ陣営や共和党政府が法廷に主張しないのか不思議。ところでブロックチェーンは仮想通貨の暗号化技術で、すかし技術ではない。ただのネタでは。

 

今後、新規の根拠ある大量不正(10万票以上)が発覚しない限り、法廷闘争は困難か?

 

以下は平河エリさんによる日本メディアへの問題点指摘記事。

gendai.ismedia.jp

 

上記の部分引用です。

結果から見れば、事前の世論調査はかなり正確にこれらのことを言い当てていた。

(中略)日本はどうだろうか。(中略)「不正投票があった」というトランプ大統領の主張に理解を示すコメンテーターすらいた。

また、日本で最大級のコミュニティの一つであるYahoo! ニュースのコメント欄を見に行けば「不正投票」を信じるコメントが溢れていることがわかるだろう。

残念ながらこれらの不正投票論は容易に陰謀論と結びついてしまう。

 

またABCラジオでの町山さん説明。

miyearnzzlabo.com

 

上記の部分引用(あくまで要約)です。

法的に決まるのは12月8日、各州がその最終的な勝者を決定する時。トランプ大統領は次々と各州に対して裁判を起こしてますが全て却下されている。現在一応4億ドル(約450億円)の負債を抱えている。公式サイトで「法廷闘争のため6000万ドル(約62億円)」の寄付を募集中。12月14日の選挙人による投票は形だけ。確定しなければ、12月23日に下院議会で決選投票で「各州ごとに1票」のためトランプ大統領が勝つが、それでも決まらない場合は1月20日に下院議長の民主党ナンシー・ペロシさんが大統領代行になる。だから、どっちになるか分からない感じ。(選挙不正の証拠は)全く一切出ていません。だから裁判所の方も受理をしてないというか、拒否をしているわけです。証拠がない。さらに裁判をするお金もない。だからこれは無理だろうという。破産だけではなく、大統領の不逮捕特権が無くなると1億ドルの脱税疑惑など20件ぐらいの裁判を抱えており、辞めた途端にものすごい裁判を抱えることに。

 

■(参考3)トランプ支持者の分析

・米大統領選をめぐるフェイクニュースと「新宗教系メディア」の関係(11/23  藤倉善郎)

 

日本で繰り返されるトランプ応援デモの主催者・参加者はどんな人々なのか(12/30 藤倉善郎)

 

・選挙不正を言い募るトランプ支持の「カルト性」に警戒を(1/8 江川紹子

 

(了)

アメリカ大統領選、日本の議論はここがおかしい

アメリカ大統領選はまだ開票中だが、日本で話題のマスコミ予測、対中国、郵便投票について(日本時間 11/5 夜時点、最終追記 11/8)

 

事前のマスコミ予想は「バイデン優勢、勝利確率8割、トランプは激戦区のほとんどを取らないと厳しい。しかし民主党支持者は郵便投票が多いから、最初のレッドミラージュでトランプが勝利宣言して、以後の開票停止の法廷闘争では。」だった。ところが「トランプ追い上げ、マスコミ予測はまた外れ、またも隠れトランプか」と話題になった。

 

でも仕事合間に獲得選挙人数を見ていたが(笑)、獲得選挙人は終始バイデン優位でレッドミラージュ発生も無く、トランプは「優位な瞬間に勝利宣言」すらできず、「劣勢での勝利宣言」(仮に全開票停止しても即敗北なので苦しい状況)に追い込まれた形だった。ほぼ結果が出てから書くのもなんだが、州により郵便投票開票でバイデン票が後から増えるのは何か月も前から言われていたのに、瞬間の状況だけを見て騒ぐのは少し不思議だ。

 

 

次に中国は憲法に独裁を掲げる独裁国家だが(*1)、アメリカが国際合意から次々離脱して欧州とも対立して国内の混乱を増やしてくれて中国の国際的影響力が爆上がりしているのが現状だ。ファーウェイや台湾援助など目先のケンカより、国際情勢の方が大きな話だ。もともと人権外交は嫌いで独裁者とのディールを好み、巨額取引などで合意すればケンカは収めてしまうのがトランプ流だ(再発はあるが)。

 

対中国も目先のケンカパフォーマンスを真に受ける人が多いのが不思議だ。北朝鮮では派手に空母を派遣しても、お互い予備役招集も通信増加もなく、本気さゼロだった。香港・新彊・台湾・南シナ海もディールのカードで、同盟関係のクルドは捨てられた。

 

 

最後に、日本では郵便投票を避けるべきとの意見も見かける。でも日本も在外投票や老健などは既に事実上の郵便投票で、アメリカ各州も個人単位のバーコードや地域ごとの色の投票用紙など一定の不正対策と実績がある。

 

確かに「郵便投票では家に暴力的に監禁され記入強制」はありうるが、日本では葉書をポストから盗難かコピーだけで本人確認ないので成りすましできる。あまり極論を言っても完璧は存在しない。

 

結局「電子マネーは危険」と同じで、リスクと経済性・利便性の客観比較の話なのに、慣れないから過剰拒否してる人も多い気がする。ネットで銀行取引も認証レベルの問題だし現金も盗難リスクは高い。

 

 

(まとめ)

マスコミ批判も対中国も郵便投票批判も、目先の瞬間値で条件反射的に騒ぐだけでなく、冷静に全体を眺めたほうが面白いのになぁと思うのでした。

 

 

(おまけ)

日本人から見ると不思議な点。

  1. 「選挙人」による間接選挙と州単位の「総取り」(*2)。日本人からは不平等に見える。もちろんアメリカ合衆国は世界最初の大統領制で土地も広く、建国当時は投票に時間もかかり、少数の地域代表の「選挙人」を選出して任せた歴史はある。しかし既に形式的な勝ち点になっており、4年前も総得票数の多かったクリントンがトランプに負けた。とはいえアメリカ合衆国は本来、独立した共和国である州によって構成される連邦国家で、連邦には反感も強い。内政も投票も州の権限で、有権者の基準も投票期間も大きく違う。制度が違うのに同じ一票では逆に不平等だ。つまり「総取り」は各州の独自性を担保する投票方法でもあると思う。草の根的な自由と、相違を相互尊重するお国柄。
  2. 片方が敗北宣言するまで選挙が終わらない。日本なら選管の集計を待つだけで、本人の宣言は関係ない。しかしアメリカ合衆国は、建国当時の政治家は党派性を持つ政党は嫌い、また誰が何と言おうと正しいと思えば主張し続ける自由もある。だから延々と法廷闘争する自由もあるが、紳士的に撤退宣言して名誉を得る自由もある。実は共和党民主党も、綱領も党員制度も全国組織も事実上なく、ボランティア的な草の根民主主義だ。だから最近のような党利党略では回らない面もあるが、独立した知性と寛容を持つ個人(市民)という理想を前提としていると思う。

 

日本は明治以降「中央集権、お上の決定に従う」に慣れているが、アメリカ合衆国は「連邦制、市民が主体」だ。歴史と文化が随分違う。つい日本の基準で「いいかげんで非合理的だ」と思ってしまうが、その発想も含めて歴史や文化に規定されているのかも。

 

PS.個人的にはアトランタ・オリンピックの仕事で半年だけ暮らしたジョージア州が激戦州として注目が集まって、ちょっと嬉しい。アトランタは森林の中に浮かぶ人工都市だけど、コカ・コーラ博物館では世界の珍しいコーラが飲み放題だし、沿岸のサバンナは植民時代のヨーロッパ風街並みがお勧めです。

 

(11/6 追記)

*1 州単位の総取りは、2州(メイン、ネブラスカ)は例外で、州単位の勝者に2票(上院議員数)、残りを下院議員選挙区単位で勝者に割り振るらしい。コロラドでは比例割当方式案が住民投票で否決された。つまり州内部の配分は州(州議会、州政府)が決めるとの民主主義。

*2 中国は憲法で「人民民主主義独裁」を明記。基本はマルクス主義プロレタリア独裁(革命後の過渡期における労働者=多数派による独裁)で、このため旧ソ連キューバは一党制。これに人民戦線(労働者が労働者以外とも共同戦線)を追加したのが「人民民主主義」で、このため中国や北朝鮮には形式的には複数政党がある(ただし衛星政党共産党の指導を受ける)。

 

ジョージア逆転で事実上の決着か。写真はアトランタオリンピックのピンバッチで、マスコットは不人気で途中消失したイジー

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(11/8未明 追記)

ペンシルベニア当確で各報道機関がバイデン当確。AP提携のGoogleも。

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今回の選挙予測についてのまともな解説。

今年は的中した世論調査 バイデン氏の「緩慢な勝利」を正確に予測

 

トランプ陣営主張の「選挙不正」のBBC検証

【米大統領選2020】 投票について拡散されたうわさを検証

 

 

(了)

大阪都構想の否決は健全と思う

10月11日夜、大阪都構想の2度目の住民投票は再び否決された。大阪府民ではないが思う事を簡単に。

 

  1. 私は民主的な議論の結果なら、都道府県も憲法天皇制も変更もあって自然と思う。民主主義の基本は人民主権だし、慎重さは必要だが、変更にも不作為にもリスクはある。「何でも現状維持」には反対だ。
  2. でも「大阪都構想」では大阪都」はできない。まずネーミングがおかしい。
  3. 大阪都構想」の中身は大阪内部の役割分担なのに、「都構想で東京と並ぶ大都市に」とのイメージ戦は表紙詐欺だ。
  4. そもそも「大阪都構想」がモデルとする「東京都制」は戦時中の中央集権で、維新の掲げる地方自治と正反対だ。自治体間の調整はどの都道府県もやってる。
  5. 今回、コロナ対策での吉村知事の支持率上昇をチャンスと強行したが、賛否拮抗のテーマは時間経過に伴い保留(今回は反対)が増えるのも人情だ。これは急進主義に対する健全な保守主義でもある。
  6. 憲法改正の予行演習とも言われるが、憲法も仮に6割の賛成で強行しても、投票が近づくと保留が増えて否決される可能性が増えた。法的安定性上も、51%の瞬間値を争う党派的な冒険主義ではなく、主要与野党くらいは含めた8割前後の安定多数の模索は必要に思える。(国会で続けられていた与野党憲法議論は、第一次安倍政権による政争化以来は停滞が続いているが。)
  7. どうも維新は機会主義(悪い意味のポピュリズム・扇動主義・冒険主義)が強い。衆参ねじれ時代は一院制や首相公選制などで憲法改正を掲げたが、国政進出が進むと聞かれなくなった。都構想法案成立に向けて自民党に恩を売っただけなのか。当面の政策は状況で変わって自然だが、基本政策がご都合主義では責任感が無い。一院制や首相公選制は(権力分立の自由主義には逆行するが)人民主権重視の民主主義の考えの一つなので、主張するならまじめに主張し続けるべきと思う。

 

(了)

アニメ「無能なナナ」は原作漫画そのままの映像化がうまい

2020年10月開始で4話放映済のアニメ「無能なナナ」は、原作漫画に忠実ながら安定感あるアニメ化で、ネタバレ無しで書きたい。

 

原作もアニメも話は同じで、どちらが先でも大丈夫だけど1話から見て欲しい。なおPV #1, #2 は詐欺(ネタバレ無し)なので大丈夫w

www.youtube.com

 

謎の多い「人類の敵」に対抗するために、能力者(超能力者)を集めた孤島の学園で、一人、また一人という、あまりにありがちな舞台設定だが、超能力バトルものに見えて実は頭脳戦サスペンス。コミックス表紙のコピー「正義と悪の知略サスペンス」はうまいと思う。

 

個人的に劣勢な主人公の頭脳戦は好きだ。神話なら八岐大蛇、スパイものならスパイ大作戦、SFならアシモフとか。しかし相手から見れば謀略・卑怯・騙し討ちだ。目的は手段を正当化できるのか、果たして正義はどちらか。

 

実は2話冒頭の「人類の敵」の短い説明の中で、肝心の「人類の敵」の意味が途中ですり替わってるのが怖い。オーウェルの「1984」のゴールドステインのように、本当に実在するのか、いやそもそも実在有無に意味はあるのか。

 

学園に潜入した殺人鬼は強い信念と責任感を持って、圧倒的に不利な条件下で試行錯誤しながら懸命に闘っていく。そう、読者観客がひとごろし側をつい応援してしまう作品だ。

 

この作品は登場人物のちょっとしたセリフや描写が重要なせいか、アニメ化はセリフも表情もほぼ原作忠実で、良くあるアニメ独自の追加エピソードも描写もほぼ無い。

 

でもアニメの演出も地道に良い。主人公の声の使い分けは勿論、ナナはピンク、キョウヤは青の内面描写の色分けもカッコイイ。OPに加え、3話の色対比は視覚効果抜群で、牛乳パックまで青w

 

また1話の崖や寮玄関、3話の爆発など、原作は登場人物目線で参加感のところ、アニメは暗めの遠景で雰囲気や目撃感を出して、映像ではこっちの方がいいと思う。

 

そして2話以降のアニメオリジナルなEDも歌詞と絵が合い、作品終了後の世界なのか、主人公の心情の一面を描いたようでなかなか。

 

主人公が直面する「能力」も、段々難易度が上がるお約束を裏切られて驚く。さすがに話が続いていくと登場人物も増えて回ごとの切れ味は鈍くなっていくのだけれど。

 

最後にタイトルの「無能」も重層的な意味がありそう。まずは能力者(超能力者)かどうか。次にナナオの父のセリフのような世間的な有能・無能(この意味なら使命を持って孤軍奮闘できる主人公は有能だろう)。そしてもし、この闘い自体が仮に陰謀ならば、主人公の闘争事態に意義はあるのか。

 

一人で見ても、ネットで色々突っ込んだりも楽しめそうな作品と思う。

 

(追記)1話ラストを見返して背中ドンは効果音より音楽と気づいた。視聴者配慮もあると思うが、これもより劇的な映像化だ。 

 

(了)

池袋中華街のフードコート「友誼食府」で担々麺を食べた

東京・池袋チャイナタウンのフードコート「友誼食府」で担々麺を食べた。 

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池袋チャイナタウンは横浜中華街や新大久保韓国街より圧倒的に小さいが、元々華人向けでほとんど観光化されておらず、超お手軽な現地感覚が魅力だ。

 

以下の両店は 池袋駅を出てすぐの雑居ビルにある。

友誼商店(ゆうぎしょうてん):中国の物産のスーパーマーケット

友誼食府(ゆうぎしょくふ):2019年11月開業の隣接の中華フードコート

 

これが池袋駅「西口(北)」。昔は単に「北口」と呼ばれていた。地下一階のコンコースから、東武東上線の北側改札から更に北西に歩くと出る。「ここは治安が悪い」という人もいるが、何十年も歩いて危険に感じた事は無い。しかも出て徒歩1分なので危険に出会える方が難しいだろう。ただ繁華街からの帰り道で周囲にガールズバーとかもあるので、酔っぱらいを避けたいなら昼間が良いかも。
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西口(北)を出て、左手の交差点を渡ってすぐの雑居ビル4階だ。
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ちょっと分かりにくいビル入口。入口上のモニタで店内のビデオが流されていて、スーパーマーケットの棚が映ってる。

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エレベータ前の案内。2階は中国語の書店、3階はPANDAカラオケと中華デザイナーズダイニングの竹香園だが、今回の目的地は4階だ。手前の階段も使える。

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4階出ると、すぐ左手がフードコート、奥がスーパーマーケット、その中央で専用カードにチャージしてくれるので、どちらもそれで清算する。わからなければ(中国人らしき)店員さんがやや慣れない日本語で教えてくれる。

 

なお私は何回来るか判らないので遠慮して「カード要りません」と言って注文したら、一時貸出用らしきカードを渡され、結局中央でチャージしてから販売コーナーで手渡し(カード返却)となったが、つい余分にチャージしてしまったのでコーナーで手間をかけさせてしまった。最初から作るか、一時貸出ならぴったりチャージしよう(反省)。

 

写真は台湾料理コーナー。中央の約20席の席は土曜の午後2時のせいか満席で、席取りに手前で数分並んだ。感覚だが日本人7割、女性4割、若者5割、(私のような)初心者2割くらいに見えた。やっぱり安いけど実は本格で面白いとこは若者が多い感じ。
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席を確保したら、本場の辛さを確認したい私は四川コーナーへ。
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やっぱり基本は伝統四川担々麺(680円)だ(個人的趣味)
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「四川でも辛くない料理もあるし定食もある」との親切な日本語説明
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伝統四川担々麺と、テーブルの席取りガイド。ガイドは具体的なのがインターナショナル。担々麺は格段に辛いという事は無く、フードコートなのでそれなりの内容だが、味付けが日本の中華料理とは明らかに違うのが面白い。
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奥のスーパーマーケットでは担担麺や何故か韓国のインスタントラーメンも。
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水餃子(630円)。
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こちらは3階のPANDAカラオケの看板だ。
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雑居ビルから出て、これも西口(北)すぐの小籠包専門店では行列が。
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関係ないけど西口ロータリー前で見たコミュニティバスIKEBUS」。タイヤが斬新だ。
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最後に池袋チャイナタウンの情報をまとめてみた。

(場所)

Google マップ 友誼食府 

 

(同じ雑居ビル3階のデザイナーズ中華)

竹香園 - 池袋/中華料理 [食べログ]

 

写真も多くて判り易い記事。先に読んで行けば良かった!)

【池袋グルメ】中国よりも中国すぎる激ウマ中国フードコートが本格的すぎてザワつく / 友誼食府 ユウギショクフ | メインディッシュ! 東京

 

ここは中国!? 池袋で話題の「友誼商店」と「友誼食府」を徹底解剖☆|ちくわ。

 

(更に店にちゃんと取材してる記事)

本場と同じ味!?池袋の中国屋台料理フードコート「友誼食府」を中国人の友人に検証してもらってみた | be-topia(ビートピア)

 

(ビジネス記事)

池袋北口に広がる“本当の中国”:日経ビジネス電子版

 

一番しっかりした歴史説明

池袋に誕生した「新興のチャイナタウン」に「新華僑」が集った理由② | TABI LABO

 

池袋沿線は、昔から地価/物価が安いので学生/アニメスタジオ/外国人が多く住んでいた。その後、秋葉原に次いでオタクなショップが増え(主に東口)、そしてチャイナタウン(西口北)。気取らず(気取れず)、チープでニッチだけど魅力ある雑多な街だと思う。

 

(了)