らびっとブログ

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映画「すずめの戸締まり」2回目で気づいた6点【ネタバレあり】

公開直後(11/12)に観た後で、2回目(11/20)で気づいた6点です【ネタバレあり】。

 

 

なお2回目も満席で、私は劇場で2回見るのも、上着を忘れて清掃中の劇場に頼んで再入場の失態も始めてでした。

 

①椅子の目は動いてないか?

椅子となった早太は動きとセリフだけで演じ続けるけど、目の輪郭や目の中の白色(ハイライト)を動かすなどの感情表現を実は入れてないのか? が1回目に感じた個人的疑惑でした。

 

そこで2回目に注視したけれど、椅子への影や脚などのデフォルメはあるものの目の動きは発見できず、仮にあっても観客の大半は気づけないレベルとしか思えない。

 

ディズニーなアニミズム世界とはまた違って、異世界のダイジンやミミズはデフォルメ多用で、現世の人物や椅子はリアリティを保つ、描き分けて併存なバランスが良い作品と思います。

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(ポスターの椅子も、目はただの穴で、目の中の光源の反対側に白が入っているが、作品中もずっと同じでした)

 

②ダイジンは正直者か?

1回目でも、邪悪な悪魔の使いに見える白猫のダイジンは、実は最初から素直な感情(すき!)と事実(ムリ!人がいっぱい死ぬよ)しか言っていない気がしたが、本当だろうか。

 

見返したら本当でした!主人公と観客をうまくミスリードさせる運びが絶妙です。(リアルでも印象操作と事実関係の違いに気を付けましょう笑)

 

(11/23 追記)要石は元は人間の人身御供らしく年月をかけて神となる孤独な存在だけど、すずめが偶然にも開放してくれて、訪ねていくと餌と水をくれて「うちの子にならない」とは女神に見えたかも。その女神の隣にいる要石を戻したい危険人物を「お前も窮屈な身体になれ、そして自分で要石になれ」と呪うのも当然にも。

しかし人間の犠牲を減らすため後ろ戸の場所を知らせ続けて、最後にすずめが要石になる決心をすると、黙って自分が身代わりに戻っていく。

こう思うと「すずめの自業自得の騒動話」から「ダイジンの自己犠牲愛の物語」にも思えるし、全2作の「宿命を持った巫女」の要素は、救われてハッピーエンドになる早太だけでなく、納得したにせよ石に戻るダイジンの両方なのかも。人知れずサポート役で消える人間と、それを活かして未来へ向かう人間、どちらも現実。深読みですが。

 

③サダイジン良くわからん

1回目は、要石はなぜ東西2個か、東の要石はいつ誰に抜かれたのか、なぜ環の深層を代弁したのか、なぜダイジンよりでかいのか、などなど謎だらけ

 

見返したら、やっぱりわからん。良く言えば、主人公達にも「結局よくはわからなかった部分」のままで良いとも思う。謎解き作品でもないし無理に苦しい説明なくてもいい。

 

ぶっちゃければ、最終バトルで手前には主人公と子猫、背景には巨大怪獣格闘の絵が欲しかった、そして何より「最後の戸締りを主人公2名で対等にするには要石が2個必要だったから」が製作側の本音に見えるので、後付けの設定詳細を余り語るのは野暮にも思える。

 

④芹澤はなぜ後半から?

地方で生きる人々と対比してチャライ東京な芹澤だけど、2回目で気が付いた。

 

ネコが喋るとか非現実的な出来事に、前半はすずめが「ええっ」連発でバランスを取っていて、すずめが覚悟を決めた後半は芹澤が「ええっ」役を引き継いだ構成なんですね。

 

非現実が当然のように続くと観客も嘘っぽく感じるので「ええっ」の突っ込みは欲しいし、その後の諦め感との反復がコメディ。個人的には芹澤のいない本作はありえないくらいナイスでした。

 

ところでお茶の水は堀・地下鉄・橋のビジュアルが有名ですが、都会というより学生街なので、地に足が付いた選定に思えました。

 

⑤幼児向け?震災シーンが多い?

1回目の後に少し世間の感想を拝見して。

 

マクドナルドの陰謀もあるのか土曜午前の上映で幼児が1割ほどでしたが、上映直後に「面白かった」風な子供は見えなかったような。暗い画面も多くて、歩く椅子との楽しいディズニーアニメではないし。ただ年齢に拘わらず色々な作品に触れる事自体は良い事かと思う。

 

また「知らずに観て震災描写にショック」との声もあるようですが、実は直接犠牲になるようなシーンは無く、家の上に船(直後ではなく蔦が絡まる廃墟)、日記の日付が「3 11」、上空から見た真っ赤な地上(街?)とか、「当時を知ってる人だけが連想できる」配慮はあったと思う。

 

⑥どこがラスト?

2回目でやっと判ったけど、「戸締まりの話」は扉の前でスパッと終わっていて潔く、続くエンドロールでの後日談イラストはロードムービーのおしまい、そして最後に最初の舞台に戻って「おかえりなさい」と本を閉じるようなボーイミーツガールのラストとは、万人向けにエッジが効いた構成でさすがに思えました。

 

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二子玉川109シネマズのポスター)

 

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(ポスターの監督サインの拡大)

 

以上です。