公開2日目の5/14(土)に二子玉川の映画館で見て普通に面白かったので、ネタバレ控えめで感想を書いてみました。
(映画館の入口ディスプレイの写真)
公開後の最初の土曜の午前で、IMAXは混んでいたので普通の2Dで、座席は7割ほどで子供から若者・年配まで幅広かった印象です。
なお「シン・ゴジラ」ほどではないですが、画面に巨大な字幕が次々映るシーンもあるので、なるべく読みたい人は後ろの座席が良いと思います。
「シン・ゴジラ」とスタッフやキャストの共通点も多く、実際似ていたので、つい色々比較しながら観てしまいました。
テレビの初代「ウルトラマン」は
さてテレビの初代「ウルトラマン」は幼稚園の頃で、続く「ウルトラセブン」と「帰って来たウルトラマン」まで見たけれど、特に初代「ウルトラマン」はオムニバス的で回によってコメディ調だったり、単純な正義で割り切れない話があったのが子供心にも印象的でした。
例えば相手の怪獣や宇宙人も、
- 村人に差別される孤児の女の子(雪んこ)を助けに現れるウー
- 自分から攻撃しないのに、巨大で迷惑と人間に攻撃される不条理なスカイドン
- 宇宙開発競争の犠牲者が、元は人間と隠されたまま抹殺される悲惨なジャミラ
- ウルトラマンが過去に退治した、静かな宇宙墓場に帰りたいだけの嘆きのシーボーズ
- 母星が核実験で滅んで宇宙難民となり地球への移住を希望するが、数多すぎと闘いになり、最後にウルトラマンが母船で眠る20億人を当然のように母船ごと破壊して終わるバルタン星人(!)
うーん、今見ても凄いものを子供向けに放送していたもので、今のエンタメ枠では収まらない。
「怪獣もの」の中に、正義とは何か、人間とは何か、の問いかけが潜んでいる。沖縄出身の脚本家の金城氏や、実相寺氏の特徴的な映像にも熱心なファンが多いのも納得です。
「シン・ゴジラ」と同じところ
①主人公側は常に自衛隊と行動する
初代の「科特隊(科学特捜隊)」は特別な研究機関か特殊部隊か、という感じですが、この映画の「禍特対」は政府配下で、現地で自衛隊の指揮権も引き継いだりします。
攻撃シーンでの連携を考えれば自然かもしれないですが、それではまるでゴジラやガメラシリーズで、謎追及で探偵要素な「ウルトラQ」後継シリーズに思えない気がします。
特に最初の2回の出動は自衛隊の野戦テント内の映像までそっくりだし、主人公が突然「子供を助けに行きます」と単独行動するウルトラシリーズのお約束も背後に屈強な自衛官が多数映っているのでは「出口に近い隊員に指示した方が早いのに不自然すぎ」でしょう。まぁ前半は「シン・ゴジラ」ファン向けのサービスシーンでしょうけど。
②政府や外交の駆け引き
これも「シン・ゴジラ」同様にテンポ良く早口セリフと表情で見せるのがうまいけれど、「シン・ゴジラ」では感情移入させたいためか日本被害妄想な視点も感じましたが、この「シン・ウルトラマン」は色々な思惑が並立している感じでウルトラシリーズ風に思えて私は良かったです。
③仲間との描写
相棒役の長澤まさみの「こんな奴いるか」感は「シン・ゴジラ」と同じですが、変態的な「匂い」シーンも主人公側は健全で、「バディ」軸の会話もシンプルで判りやすかったと思う。ゼットンと人類の関係も(賛否あるけど)まぁオリジナル尊重でした。
「シン・ゴジラ」と違ったところ
①意図的に昭和な特撮
怪獣もののリメイクでは、ハリウッド版「ゴジラ(GODZILLA)」のようにオリジナルの雰囲気とは異質すぎて別物なものや、逆に「キング・オブ・モンスターズ」のようにオリジナルへのオマージュは素晴らしいしリアルだけど「CGでリアルにすれば良いのだろうか」とも思えてしまう(なんとも勝手なものだが)。
「シン・ゴジラ」ではオリジナルの雰囲気を保ちながらもリアル路線だったけれど、「シン・ウルトラマン」は意図的な「着ぐるみ&人形」表現なのが、いかにも庵野氏の趣向に思え、しかし光線合戦などはド迫力で、これは一つの方向性と思いました。
当然「お粗末な画像、幼稚な特撮」との批判も多いし、予算制約もあるようですが、良くも悪くも意図的かと。
②オムニバス的
ゴジラシリーズは映画なので巨大な敵を倒しておしまいですが、ウルトラシリーズはテレビシリーズなので毎回相手が変わり、たまに関連性もあったりします。
「シン・ウルトラマン」も複数の怪獣(禍威獣)や宇宙人との闘いで構成されていて、実は関連したり、「何故日本ばかり襲われるのか」とのお約束へのツッコミにも関連して、ここはウルトラ風で良かったと思います。
③カタルシスが少ない(軽いネタバレ)
いくつか感想を拝見すると、やはり感じている方は結構いる気がします。
怪獣ものはどれも最後はクライマックスや必殺技で盛り上げるし、それはウルトラシリーズや、スポ根もガンダムやエヴァも基本は同じでしょう。
ところが「シン・ウルトラマン」は実は最後の2戦は余り激しくないし、子供の憧れだった「光の国」が実は敵みたいで最後もすっきりしないので、観終わると消化不良に感じます。
ただ初代「ウルトラマン」は最初に書いたように、ウーやシーボーズなど最後は倒さないけれど人気の高い回も結構あるので、これもスタッフの意図的な構成かなとも思いますが。
賛否をまとめると
- 「禍特対が数人だけで不自然」これは「マジンガーZ」の光子力研究所とか「ガッチャマン」の科学忍者隊も含めて「ヒーロー側の部隊は数人まで」な伝統だけど、前半で「シン・ゴジラ」風に中途半端にリアルに自衛隊と行動したせいもあって目立ってしまった。
- 「画像も特撮も下手」これは人形・着ぐるみの昭和の特撮再現とか、人間巨大化の静止画風も異質感を出す意図的と思うけど、ここは評価が分かれて仕方ないと思う。何でも「リアル」が良い訳ではないけれど、「シン・ゴジラ」と比べると映像全体が安っぽいのは否めない。
- 「複数の話が詰め込まれて散漫」これもウルトラシリーズ再現なので半分は仕方ないのでは。
- 「なぜ人間の味方するのかわからない」これもウルトラシリーズだから(こればっか笑)。いくら説明しても、最後は論理的ではない「責任感と想い入れ」で仕方ないのでは。
- 「腰を叩くアップがセクハラ」長澤まさみはセクシー役で、真面目な主人公には効いてないから必ずしもNGではないと思うけど、過剰なドアップの繰り返しが下品に見えたと思う。例えば画面の隅でポンとやって、気付く人は気付く程度がスマートだったかと。
- 「最後に爽快感が無い」実は初代テレビ版のラストは、もっとあっけなく倒して「ええー」だったので、これでも無理やり共同作業にして盛り上げたとは思う。ところで一番最後の「結局どうなったのか」の判断を観客に委ねるスパッとしたエンドは個人的には良かった(後日談を延々はダサイ派なので)。これも賛否は分かれているようですが。
それではまた。