らびっとブログ

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アニメ「無能なナナ」は原作漫画そのままの映像化がうまい

2020年10月開始で4話放映済のアニメ「無能なナナ」は、原作漫画に忠実ながら安定感あるアニメ化で、ネタバレ無しで書きたい。

 

原作もアニメも話は同じで、どちらが先でも大丈夫だけど1話から見て欲しい。なおPV #1, #2 は詐欺(ネタバレ無し)なので大丈夫w

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謎の多い「人類の敵」に対抗するために、能力者(超能力者)を集めた孤島の学園で、一人、また一人という、あまりにありがちな舞台設定だが、超能力バトルものに見えて実は頭脳戦サスペンス。コミックス表紙のコピー「正義と悪の知略サスペンス」はうまいと思う。

 

個人的に劣勢な主人公の頭脳戦は好きだ。神話なら八岐大蛇、スパイものならスパイ大作戦、SFならアシモフとか。しかし相手から見れば謀略・卑怯・騙し討ちだ。目的は手段を正当化できるのか、果たして正義はどちらか。

 

実は2話冒頭の「人類の敵」の短い説明の中で、肝心の「人類の敵」の意味が途中ですり替わってるのが怖い。オーウェルの「1984」のゴールドステインのように、本当に実在するのか、いやそもそも実在有無に意味はあるのか。

 

学園に潜入した殺人鬼は強い信念と責任感を持って、圧倒的に不利な条件下で試行錯誤しながら懸命に闘っていく。そう、読者観客がひとごろし側をつい応援してしまう作品だ。

 

この作品は登場人物のちょっとしたセリフや描写が重要なせいか、アニメ化はセリフも表情もほぼ原作忠実で、良くあるアニメ独自の追加エピソードも描写もほぼ無い。

 

でもアニメの演出も地道に良い。主人公の声の使い分けは勿論、ナナはピンク、キョウヤは青の内面描写の色分けもカッコイイ。OPに加え、3話の色対比は視覚効果抜群で、牛乳パックまで青w

 

また1話の崖や寮玄関、3話の爆発など、原作は登場人物目線で参加感のところ、アニメは暗めの遠景で雰囲気や目撃感を出して、映像ではこっちの方がいいと思う。

 

そして2話以降のアニメオリジナルなEDも歌詞と絵が合い、作品終了後の世界なのか、主人公の心情の一面を描いたようでなかなか。

 

主人公が直面する「能力」も、段々難易度が上がるお約束を裏切られて驚く。さすがに話が続いていくと登場人物も増えて回ごとの切れ味は鈍くなっていくのだけれど。

 

最後にタイトルの「無能」も重層的な意味がありそう。まずは能力者(超能力者)かどうか。次にナナオの父のセリフのような世間的な有能・無能(この意味なら使命を持って孤軍奮闘できる主人公は有能だろう)。そしてもし、この闘い自体が仮に陰謀ならば、主人公の闘争事態に意義はあるのか。

 

一人で見ても、ネットで色々突っ込んだりも楽しめそうな作品と思う。

 

(追記)1話ラストを見返して背中ドンは効果音より音楽と気づいた。視聴者配慮もあると思うが、これもより劇的な映像化だ。 

 

(了)