らびっとブログ

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2020年回顧 (1)トランプ退場

突然ですが2020年の政治や社会の振り返りシリーズです。政治の話題は、右派と左派が一方的に相手を批判する事が多いけど、単なるウォッチャーとしては現時点の個々の賛否より、定点観測的に一定期間の動向を見る事が重要かと思ってます。(最終更新 2021/1/7)

 

  1. トランプ敗北。選挙結果を都合よく解釈する人も多いけど、アメリカ大統領選は選挙資金も青天井で実績ある現職が圧倒的に有利で、過去も再選失敗はカーターなどごく少数だ。だから再選失敗は「得票数でほぼ互角だった」ではなくて、4年間の幻滅が大きかった事だし、共和党内はブッシュ一家など既存エスタブリッシュ追放、民主党側は前回無投票のバーニー派結束も大きいと思う。(同じ投票用紙で、両院選は共和党堅調で、大統領選のみ民主党が勝った。)
  2. 前回2016年当選時のトランプの主張は (1)メキシコの金で国境に壁を作る (2)オバマケア廃止 (3)雇用重視・インフラ整備 (4)在外米軍撤退などだったが、(1)はメキシコを関税で脅したが成功せず米国費用で僅かな延長のみ (2)「より良い制度」の設計ができず早々に頓挫 (3)工場誘致など個別のディールだけで庶民期待の広範囲なインフラ整備は無し、(4)は進めたが同盟関係のクルドを見捨てたり長中期的な国益の損得は無視。結局、個別の外交や制裁などディールばかりだった。
  3. 北朝鮮、対中国の強硬派」と信じる人がいて不思議だ。支持者なら本人の言動を追って欲しい。もともと強いリーダーとの直接会談指向で中国・北朝鮮・ロシア・トルコ・フィリピンなど権威主義的政権に友好的で、対中強硬主張のボルトンやバノンは追放、北朝鮮には米国と対等に会談できる威厳を与え、対中包囲網のTPPから離脱してWTO機能不全化させて世界経済の中心を中国に明け渡した。新型コロナやファーウェイやTIKTOK対応も個別の「見せしめ」的で法的網羅性が低く、将来のディール次第で覆し容易なのが難点だ。
  4. 大統領選で「民主党による大規模な選挙不正の証拠多数」を主張し続けて信じる人がいるのも不思議だ。これも支持者なら本人の言動を追って欲しい。トランプは2016共和党候補選から相手に「うそつき」等のレッテルを貼って連呼して評判を下げ、「みんな知ってる」「今にわかる」など具体的根拠は説明しないのが基本スタイルで、それをマスコミが面白おかしく報じて人気が高まった。レッテルと大衆人気で世界を動かすとの運動論を今も実践し続けているだけで、客観的証拠が必要な近代司法での訴訟連敗は当たり前なのに、それを陰謀と言い出すのでカルトじみてくる(もともと宗教右派系だが、統一教会法輪功、日本では幸福の科学も支援中)。
  5. 共和党内で今後も一定の影響力を保てるかどうか話題だが、歴史的にポピュリズム(大衆人気)傾向の強い運動は、カエサル・ナポレオン・ムッソリーニヒトラー・ドゴールなど本人消滅後は急速縮小の傾向が強い。現在はツイッター社の大統領例外で未禁止のツイッターアカウントも、禁止されればマイナーなケーブルテレビ等に移動するしかなく、政敵批判だけで政治パフォーマンスできない4年間の勢い持続は飽きやすい大衆に対しては厳しいと思う。
  6. なおアメリカ大統領選の選挙人制度を「古い制度の欠陥で廃止の動きも」の声もあるが、歴史文化を考えれば困難では。アメリカは「合衆国」と訳されるが、複数の共和国による連邦国家で、外交は連邦でも内政は各州で、大統領も州ごとに選び、人口差は選挙人数に比例だから、州ごとの選挙制度も可能な「下からの民主主義」だ。仮に直接選挙なら制度も連邦で統一しないと不平等だが、建国以来の州の独立(自治)に反する。なお民意の正確な反映優先なら、日本の小選挙区も地域選出の地域代表でもあり激戦区以外は注目されず死票も多いので、「全国単位の比例区のみ」にすべきだろう(持論)。

 

(2021/1/7 追記)

予定通り1/6米国議会でバイデン当選が公式決定したが、トランプ支持者が乱入し4名死亡、トランプのツイッターは一時停止された。大規模銃撃戦や戒厳令の話もあった中、4名で済んだのはかなり軽かったと思う。トランプも保守派ご用達SNSパーラーに移動したそうで、日本のトランプ支持者も倣うべきではないか。

 

(了)