らびっとブログ

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早大の原理研(統一教会)の過去と現在

安倍元首相銃撃事件後に話題となったカルト宗教団体「統一教会」や「原理研」を、若い人は知らない人が多いと聞いて隔世の感だが、1980年代の自分の早大在学時代を含めて簡単に書いてみた。(最終更新 2022/8/28)

 

 

1.まとめ

 

2.教祖 文鮮明早稲田高等工学校に入学

統一教会の教祖の文鮮明は1941年に早稲田高等工学校に入学した(1951年閉校。統一教会側の「日本統一運動史」より。「真の御父様」=文鮮明。)

1941年春に、真の御父様は早稲田大学附属の早稲田高等工学校電気工学科に、「江本龍明」の日本名で入学されました。

(略)

早稲田大学附属早稲田高等工学校(以下、早稲田高等工学校)は、1928年4月に創設されました。創設者は、早稲田大学総長の高田早苗氏であり、同校の初代校長は徳永重康氏でした。

 

しかし信者の中には「早大卒」との誤解や、早稲田周辺や戸山公園の「聖地」扱いもあるという(週刊現代

統一教会信者の中には、文鮮明早稲田大学の卒業だと信じている人が少なくありません。

(略)

留学中の文鮮明戸山公園を訪れていたとして聖地になったようです。

 

こんなブログもある。

その箱根山の、或る大きい木が文鮮明=御父様の木で、小さい木が妻の韓鶴子(現・教祖)=御母様の木だというのである。都電・早稲田駅の近くに信者らが共同生活をしていて、毎朝この木に手をかざし祈り、歌っているとか。その様子を写した13年前の写真が数枚アップされていた。

 

箱根山に早朝に行った事は無いのでラッキーだったかも。

 

3.1964年 早稲田大学 原理研究会 発足

早大原理研は1964年に作られた(「日本統一運動史」)。

(8)早稲田大学原理研究会発足(1964.4)

1964年4月、尾脇準一郎委員長、大貫啓司・条谷真由美両副委員長のもとに早稲田大学原理研究会が発足しました。

 

教祖の縁に加え、知名度の高い大学を組織的に狙い、他校での勧誘時の信用材料にしていると思われる。

 

そして1967年代には社会問題化した(日本における統一教会の活動とその問題点

統一教会が最初に社会的に知られたのは<親泣かせ「原理運動」 学生間に広
がる学業放棄>というセンセーショナルな新聞記事であった(朝日新聞 1967
年 7 月 7 日)。同記事によると「原理運動」と呼ばれる宗教が全国の大学や高
校に広がり、そのため家庭を破壊されたという父母からの訴えが学校や警察に
相次いだ。

 

また早大原理研側の「早稲田原理研時代と私」にも以下記載がある。(内部では「現研」と記載。漫研、映研的な略称か。)原理研の発祥も社会問題化も早稲田が最初に読める。

1967年

早大原研は東京地区の主管下になり、戸山町と余丁町に二つのホームを構え

(略)
一方、この時期、早稲田原研が朝日新聞によって世を惑わす奇怪な運動として紹介され教会迫害の口引きになった。それが<親泣かせ原理運動>だ。新聞、週刊誌、テレビ、ラジオなどあらゆるマスコミからネガティブイメージによる悪宣伝がなされた。また、この頃早稲田原研員の父母たちが「原理運動反対父母の会」を結成し、世論からのバッシングをうけることになった。特に角田昭代さんや小林育三さんの親は強硬に反対運動を展開した。負の側面でも早稲田が発祥地になった

(略)

原研委員長時代1968年4月

原理研究会CARPといわれるようになったのはこの時からだった。COLEGEATE ASOCIATION FOR RESEACH OF PRINCIPLE 韓国の原理研究会から使われた。

 

4.1981~84 在学時の話

私は1981年に早大法学部に入学した。当時は大半の自治会(政経、商、社学、文、二文、そして文連と早稲田祭実行委員会)は新左翼系の革マル派が支配し、唯一法学部が日本共産党系の民青だった(革マル派は2000年頃迄にほぼ追放された)。

 

革マル派と民青は敵対関係で、「民青=日本共産党は打倒すべきスターリニスト官僚だ」「革マルによる川口君殺害事件を忘れるな」と批判し合っていたが、原理研統一教会に対しては「韓国軍事政権=KCIAの手先の反共反動偽装集団」とそれぞれ非難していた。

 

なお革マル派も民青も「自治会には色々な立場の人もいる。特定の党派と言うのは不正確な権力側のデマだ」と言うが、形式的にはそうでも、ビラや立て看を観れば用語も立場も完全に党派と同一だった。なお原理研も「色々な人がいる。宗教や統一教会ではない。」と論法は同じだ(創価学会公明党神社本庁と神政連などもだが。)

 

1980年代も原理=統一教会は社会問題化していたと記憶している(朝日新聞 天声人語)。

犬も歩けば棒に当たるではないが、1980年代の大学のキャンパスでは、統一教会系の学生組織、原理研究会の人からよく声をかけられたように思う。誘われるままに、彼らが拠点とするマンションに行ってみたことがある▼話の内容はよく覚えていないが、たしかサタンがどうのこうのという独特の世界観を聞かされた。

 

早大には「原理研究会」の他、「早稲田学生新聞」「早稲田文化」など複数の偽装サークルやメディアがあったが、他は覚えていない。なお「早稲田大学新聞」は別新聞(当時は革マル系)と名前が紛らわしい。相当な資金力と動員力が無ければ継続できない物量だ。(以下はワセクラより)

統一協会=原理研究会の活動に対して警鐘を鳴らす。

「公認」団体にも原理系サークルは存在します。一部教員が宣伝に荷担してる例もあるので騙されないように。『早稲田学生新聞』『早稲田文化』等原理系メディアにも警戒を。

 

週末などの高田馬場駅前には大抵「聖書に興味はありませんか」「あなたのために祈らせてください」などの宗教系勧誘がいて、学生同士で「あれが原理だ」「話を否定していたら、突然形相が変わり集団で囲まれて、悪魔だ悪魔だと罵られた」「信者になると行方不明になる」などと良く話題になっていた。

 

ある時、法律系サークルの飲み会の帰りに先輩が勧誘者に「我々は宗教懇談会ですよ」などとウソのサークル名でしばらく会話して、後で「これで1人でも助かったかも知れない」などと言っていた。

 

そして多分1984年に原理追放集会が学内(本部キャンパス)で開かれ、残念ながら出席できなかったが、既に学生運動は沈静化していた在学時では最大の集会だったようだ。とはいえ元々偽装集団なので、公然とした立て看やビラ配布は減った気がしたが、偽装サークルや新聞などが消える訳ではなかった。

 

5.現在の各大学の対応

大学によりかなり相違があるようだ。

 

京都大学の説明は非常に詳しく、「大学公認」は信用度にならない説明や、ネットで話題となった「原理新聞リスト」もあるので、お勧めです。

1.『京大新聞』と『京大学生新聞』は違う団体
2.統一協会とは何か
3.学内での原理研究会の活動
4.京大学生新聞の内実
5.あてにならない「大学公認」
6.全国に広がる原理新聞問題 (末尾に関連リンク・原理新聞リスト)

 

またプロテスタント系大学は非常に厳しい対応をしているらしい(ブログ「プロテスタント系大学での統一教会の扱い」)。

日本の多くのプロテスタント教会統一教会と戦っているので、そのミッション校である大学では統一教会の活動ははっきりと禁止されている。「信教の自由」みたいな微温的な言い分には完全に聞く耳を持たない。

特にピリピリしているのが学内での勧誘や原理研の偽装サークルを通じたオルグで、入学時のオリエンテーションでかなりの時間を掛けて注意を受ける。 

もし学内での勧誘が発覚したらかならずこうする、と強く警告を受ける。

 

他の多くの大学でも新入生への注意喚起がされている。(3年前に私の子供が入学した大学でも入学式で団体名は挙げずに注意喚起していた。)

 

しかし早大は少なくともホームページの検索機能では注意喚起は見つからない。

「暴力電話には屈しない」というコラムを書き、統一教会と対立姿勢を明確にした。

 

ただ約40年前の1981年入学式の総長説明でも「大学は皆さんを大人として扱うので、注意事項などは言いません」と聞いた記憶があり(当時はこれが普通と思っていたが、その後に多くの大学は高校の延長風だと気が付いた)、議論はあると思うが、規制や統制に反抗するリベラルな校風の影響かも、と思うのでした。

 

(おまけ)早大の学生新聞の比較

 

以上は現在ではいずれも大学とは無関係です。また他に「早稲田スポーツ」「ワセダ学生新聞」や、大学発行の「早稲田ウィークリー」もあり、ネーミングもややこしくアナーキーな感じが早大な気もします。

 

以上です。