らびっとブログ

趣味で映画、本、政治思想とか時々書きます(^^)/ ご意見はツイッター @rabit_gti まで

本来の意味の政治用語①~⑭

「民主主義」などの用語を違う意味で使って噛み合わない不毛な議論を昔からよく見るので、代表的な政治思想用語の本来の意味を書いた X へのポストをまとめて、青字追記してみました(最終更新 2024/10/17)

 

【違い】現在は「他人に迷惑をかけなければ何をしても良いのが自由主義」と思われがちだが、本来は「人は運命や身分や神などに縛られず、自由に判断できる能力を持っている」という考えで、これが無ければ選挙や市場経済など近代思想も成り立たない。

 

【歴史】オリエント(東洋)の専制に対して、「自由」の概念は古代ギリシアで生まれ、中世では長く忘れられていたが、ルネッサンスで再評価されて近代思想となった、というのが一般的(それは西欧中心主義、との批判もありますが)

 

 

【違い】現在は「選挙と多数決のこと」と思われがちだが、本来は「少数者支配に対する多数者支配」の事で、選挙や多数決は方法にすぎないし、普段からの情報公開や報道が無ければ公正な選挙にもならないし、少数派を迫害して良い訳でもない。

 

【歴史】デモクラシーが生まれた古代ギリシャでは王を追放して、法を定めて民会で決定し、役職も任期を決めるなど自治や共同統治の側面が強かった。近代では自由主義的な民主主義として選挙による代議制(間接民主主義)が中心になったが、これには「有権者は選挙の時だけ王様で、後は奴隷」(ルソー)とか、「多数者による専制」(トクヴィル)などの批判もある。

 

 

【違い】現在は「自由な市場経済のこと」と思われがちだが、本来はカネに人間が動かされている」との批判語で、マルクスでは「産業革命以降の産業資本の蓄積とその自己増殖」(富裕層は投資で更に富み、貧困層は賃労働しか選択できず更に窮する世界)のこと。

 

【歴史】近代までは権力が商売を規制していた。アダム・スミスは単に「自由主義」と自称した。貧富の差が拡大すると社会主義者が「資本主義」と批判するようになった。ピケティは貧富の差の拡大を統計で証明した。

 

 

【違い】日本では「社会主義=ソ連=国有化」と思われがちだが、本来は社会の私有化(パーソナライズ)の弊害対応を、個人ではなく社会化で考えること。

 

【歴史】まずは資本家のモラル向上、自主的な共同体、労働運動などが考えられたが、第一次世界大戦勃発時に①愛国的で穏健な社会改良を目指す「社会民主主義」と、②政府の戦争に反対して革命を目指す「マルクス主義」(後の共産主義)に分裂した。現在は資本主義国にも経済政策や社会保障など社会民主主義的政策が取り入れられている(福祉国家、修正資本主義、混合経済)。

 

 

【違い】日本では「共産主義=ソ連北朝鮮」と思われがちだが、本来は富を共同体で共有する思想のこと。

 

【歴史】①古代スパルタ、ゲルマン、多くの宗教で財産共有がみられる ②19世紀に「土地などの生産手段の社会的所有」を主張したマルクス主義共産主義と呼ばれるようになった ③20世紀の社会主義運動分裂で、「暴力革命と階級独裁」を掲げたレーニン主義共産主義と呼ばれるようになった。どれを指しているかで良く紛糾する。

 

 

【違い】「ナチスの思想」と思われがちだが、本来は「ムッソリーニの思想で、資本主義(個人主義)と共産主義(国際主義)の階級闘争を両方否定して、愛国的な国家主義古代ローマ帝国の復興)を掲げた。

 

【歴史】ムッソリーニは元は愛国的な社会主義者で、暴力の美学を主張するソレルにも影響を受け、最初は反国王・反教会だったが、和解して全体主義を進めた。このため右翼と左翼の両方の要素がある。

 

 

【違い】ムッソリーニファシズムと同様に、資本主義(個人主義)と共産主義(国際主義)の階級闘争を否定するが、国家主義より民族主義。また「一党独裁」と呼ばれるが、指導者原理による「個人独裁」の側面が強い。

 

【歴史】当初はドイツ労働者党だが、ナチス左派は粛清され、選挙(暴力あり)で政権獲得して独裁政治を行い、民族の生存競争を理由に弱者の抹殺を進めた。

 

 

【違い】単なる独裁や専制と思われがちだが、本来はファシズム共産主義は同類だ」との西側の宣伝用語で、ラジオや自動車や機関銃など近代技術により個人の生活の隅々まで統制し管理する社会のこと。

 

【歴史】ムッソリーニは良い意味で「全体主義」を自称した事もある。ハンナ・アーレントは著作「全体主義の起源」で、ナチスユダヤ人虐殺は異常者ではなく普通の人によって実施されたと主張した。なおオーウェルの小説「1984年」は全体主義的なディストピア世界の代表作となった。

 

 

【違い】リベラルは本来は自由主義のこと自民党の英語名はリベラル・デモクラティック。ところが「リベラル(アメリカ民主党など)は社会主義的だ」とのアメリカ特有の用法が日本にも輸入されて混乱が続いている。

 

【歴史】アメリカでニューディール政策ケインズ主義や公民権運動や独占禁止法等が連邦政府主導で進み「ニューリベラリズム」や「リベラル」を自称した。これに反発する新自由主義ネオリベラリズム)は「リバタリアニズム」とも自称した。なおヨーロッパではリベラルは従来通り(新)自由主義を意味する。

 

 

 

【違い】日本語の「新自由主義」は、最初は公正を重視する「ニュー・リベラリズム」の訳だったが、1970年頃からは自由放任の再評価の「ネオ・リベラリズム」の訳

 

【歴史】用語は1930年代からあったが、1970年代に南米チリでアメリカの支援でクーデターを起こしたアジェンデ政権が大幅な自由化を行い、それが「新自由主義」と批判されて用語が普及した。

 

 

【違い】主にアメリカの用語で、徹底した自由放任主義。警察や軍の民営化、中央銀行の廃止(通貨の自由化)、福祉の全廃なども主張する。

 

【歴史】アメリカで社会民主主義的な政策が「リベラル」と呼ばれるようになったため、自由放任的な自由主義者が「新自由主義」や「リバタリアニズム」と呼ばれるようになった。アメリカ第三政党のリバタリアン党も存在する。

 

 

【違い】日本語訳の「無政府主義」は「無政府状態を求める思想」と誤解されるため批判が多い。本来は権力や支配を最小にしようという思想。

 

【歴史】ロシアの無政府主義者が要人の暗殺を起こしたため危険思想と思われがちだが、最近では台湾のオードリー・タン氏も有名。

台湾、オードリー・タン「アナーキズムは無政府主義ではない」 | ゴールドオンライン

 

 

 

【違い】日本では「大衆迎合主義」と悪い意味で使われるが、本来は「大衆派」の事で悪い意味は無い。大衆人気を背景に影響力を持ち、既成勢力であるエリート(学者や官僚や議会政治)を批判する事が多い。

 

 

【違い】多くの辞書や事典で「右翼は国家主義民族主義、左翼は社会主義共産主義」と書いてあるが、これは冷戦期までの話で、本来は「右翼は保守主義、左翼は進歩主義」。民主主義や自由主義法治国家ナショナリズム国民国家は元々は左翼思想で、伝統や安定を重視して急進的な左翼に反対するのが右翼思想。

 

以上です。