らびっとブログ

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映画「TENET テネット」うーん

映画「TENET テネット」(2020公開)見た。軽いネタバレあり。

 

クリストファー・ノーラン監督が「ダークナイト」で見せた、表情を抑えたアップ連続での観客が窒息しそうな息詰まるダークな人間描写は健在だった。

 

前回作「ダンケルク」では得意の主観映像と違ってスペクタクルシーンに無理を感じたけれど(以前の 映画「ダンケルク」いまいち 参照)、今回は戦争ものでもない。

 

しかもタイムリープの時間ものとなれば、ハインラインの古典小説「夏への扉」、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」、「君の名は。」などのファンとしては見ない訳にはいかない。

 

(脱線)ところで私はコロナ禍以来初めての映画館で、入口で半券を切らない、1席間隔の座らないでください表示、20分間で全空気入替との換気案内映像を初体験。たまたま109シネマズのファーストディ(毎月1日は大人 1200)で、ファンな「NO MORE映画泥棒」の逃げ回る新作もスクリーン鑑賞できた。

 

タイトルの「TENET」は「信念」などの意味だが、回文で主題の時間逆行にかけてる。

 

冒頭のキエフの劇場でのテロ事件はガス攻撃を含めて、2002年のモスクワ劇場襲撃事件(チェチェン独立運動)がモデルと思うが、広いホールと狭い通路の対比が効果的な導入。

 

ちょっと不可解な画面があちこち出ても「君の名は。」同様に覚えておきたい。

 

ただスパイものなので絶体絶命の危機連続は良いが、敵の機嫌次第で簡単に殺される場面や、銃撃の中で全く当たらない場面が何回も繰り返されると、偶然すぎてリアリティが減ってくる気がする。せめてパターンを変えて欲しかった。

 

売りの時間逆行は、SF的に時間の整合性を発見したり語り合って楽しむ作品なのか、「マトリックス」のように「んなバカな」と気軽に映像を楽しむ作品なのか。多分後者かな。

 

バンジージャンプでのビル侵入は、ゆっくり上昇が新鮮だった。

 

ただ普通のスパイ映画は小さな工夫で大きく実現なのに、空港もハイウェイもヨットレースも大作戦な割に目的が単純だ。見せ場と伏線作成優先なのか、無駄すぎる作戦に思えてしまう。

 

ハイライトの赤/青腕章の2部隊突入は映像的には面白く、遠景でどう見ても後ろ向き歩きしてるのはご愛敬だが、なんで逆行部隊先行で先に地上の敵を一掃しないの?と、つい思ってしまう。

 

そしてハイライト山場の対決は、相変わらず主要人物は流れ弾も気にせず、結局は普通の地味なバトルなのはちょっと残念。時間ものなのに時間が決定打には見えない。

 

後半で種明かしは「カメラを止めるな!」形式かも。

 

人間も映像も魅力的で緊迫感あるけど、気楽に見ると話がわからず、真面目に見ると色々気になってしまう、ちょっとうーんな感じでした。

 

(了)