らびっとブログ

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「ベーシックインカム」とは?

正月にツイートした話題を、なるべく箇条書きでまとめてみました(^^)/

 

 

ベーシックインカムとは?

 

  • 直訳は「基本所得」だけど意味的に「最低所得保障」かと
  • 基本は「全ての人に無条件で最低限生活できるお金を支給する制度
  • 例えば「全国民に一律無条件で月10万円を支給」
  • 目的は「貧困一掃」「社会安定」「他の社会保障の全廃」など
  • 難点は「勤労意欲」「財政負担」「金銭以外の必要性」など
  • 日本では旧新党改革、旧民進党、国民民主党などが主張

 

いわば「逆人頭税」。民主党政権の「子供手当」(全ての子供に無条件で一律支給)の、全世代版と言えるかも(「子供手当」は自民党の「ばら撒き」批判で所得制限付きの「児童手当」に戻りましたが、公明党は野党転落後も1年ほど賛成してました。)

 

ベーシックインカムの利点・難点や損得は? 色々な観点があります。

 

なお不足分のみ支給(補填)する「負の所得税」や、富裕層除外などを「本来のベーシックインカムではない」との説明も多いが、制度設計は色々だし「全ての人に最低限の収入を保障」との基本趣旨は同じと思う。

 

またZOZOTOWN創業者の前澤氏の「個人が実施するベーシックインカム」は、「(当選者の)最低所得補償」で、「全ての人に無条件」ではなく、全く別物かと。


ミルトン・フリードマンベーシックインカム

 

大胆で革命的な主張なので、頭の体操(極端な例)として。

  • 政府は貧困対策に長年莫大な費用と努力
  • しかし貧困者(基準所得以下)は一向に減らない
  • 実は社会保障制度自体が巨大な無駄だ!(組織、規制、非効率)
  • 社会保障費の一部を全貧困者に直接配布すると、何と貧困者消滅(基準越え)!
  • 従来の社会保障制度は全廃し、税務署と「負の所得税」だけで済む
  • 「小さな政府」と「所得ある自由市民」で「市場経済拡大」の好循環

 

ソシャゲで毎日最低限のライフを無料で復活させて、ゲーム(市場)参入者を増やして全体を活性化、みたいな話ですね(^^)

 

フリードマン自由主義(= 選択の自由)の立場から、「お金を何に使うかは本人の自由」を重視して、税金による個別の補助や規制を批判し、後は市場経済と自己責任(いわゆる新自由主義)。

 

余談ですがこんな発言も。徹底してます。

  • 親が怠けるのも、子供に使わないのも自由なので、出生時の格差は仕方ない
  • 公害規制は馬鹿げている、服の襟がすすで少し汚れて何が困るのか


フリードマンへの批判

 

もちろんフリードマン流のベーシックインカムには批判があります。

  • 所得だけでは解決しない(難病治療、教育文化など個別サービスも必要)
  • 特に「負の所得税」は所得捕捉率次第
  • 金銭は奪われやすい(依存症、痴呆、詐欺、隷属化など)
  • 金銭喪失後は死ぬしかない(生活保護医療保険も廃止)

 

ただベーシックインカムには、一見正反対の以下の両方の要素があり興味深い。

  • 弱者救済(ばら撒き)との社会主義的要素
  • 税金の使い道を政府から個人が取り戻すとの(新)自由主義的要素

 

フリードマンへの本質的な批判は「19世紀的な合理的人間観で、20世紀に判明した人間と社会の複雑な関連性を無視しており、市場万能論だけでは解決しない」かも。(経済の話は突き詰めると人間論 = 哲学に。)


ベーシックインカムの利点

 

政策としてベーシックインカムは、政府一律保証によって、長期的な社会や経済の発展を狙います。見落とされ易いのがセーフティネットによる資本主義拡大要素。


ベーシックインカムの難点

 

  • 勤労意欲減退?(ここが議論多数)
  • 財政負担(月10万で1億人なら年120兆。他の社会保障全廃は可能?)
  • 金銭で解決しない社会保障サービスもある(併用?)

 

なおフィンランドの社会実験の暫定報告では、

  • 失業者2000人に2年間月7万支給
  • 働かなくなる傾向は見られず(ただし2年間のせいかも)
  • 社会への信頼度が増加
  • 正式結果は2020年発表予定

 

gendai.ismedia.jp

 

 

また、仮にフリードマン式に、他の社会保障全廃の場合の注意点は、

  • 個別の現金給付は原則廃止生活保護、失業保険、児童手当など)
  • 医療保険廃止&国の抑制も消失なら医療費倍増?(受診しない自由?)
  • 公立学校廃止&補助廃止なら、授業料倍増?(通学しない自由?)
  • 更には食品・建築・交通の安全基準も廃止?(安全を捨てる自由?)

 

月10万円では全く足りず、貯金・健康・育児・安全などの費用優先を選ぶギャンブル人生に戻ってしまうかも。選択の自由さえあれば良いのか、安定も必要か。 

 

フリードマン式の「所得のみ保障、他の社会保障や経済規制は全廃」は一種の革命論なので、革命や敗戦などの制度壊滅時はともかく、現実には綿密な組み合わせや移行処置が必要に思えます。

 

参考

 (用語や概念について)


(利点、難点を簡潔にまとめてます)


 以上でした。ご参考まで。